世間には「モチベーションを上げる方法」に関する情報があふれています。自己啓発本、YouTube動画、SNSの投稿…どれも、いかにモチベーションを上げて夢や目標に向かうべきかを語ります。ですが、私は少々ひねくれているのか、こういった「モチベーション至上主義」に違和感を覚えます。
そもそも、何かを継続するのにモチベーションって本当に必要でしょうか。むしろ、モチベーションに頼らず、習慣として生活の中に自然と組み込めるかどうかの方が、成功のカギだと思っています。この記事では、モチベーションを「上げる」ではなく「下げる」という視点で考えてみたいと思います。
習慣化こそが最強の武器
まず、私たちが何かを継続するために必要なものは「やる気」ではなく「習慣化」です。歯磨きをするために毎回モチベーションを高める必要はありませんよね。
「よし!今日も歯を磨くぞ!」と自分を奮い立たせる人は少ないはずです。歯磨きが習慣化されているからです。
同じように、何かを続けるためには、特別な気合いや感情に頼るのではなく、それを生活の一部に組み込むことが重要です。逆に言えば、習慣化さえできれば、モチベーションに左右される必要はなくなるのです。
何を「やらないか」を考える
さて、ここで「何をやるか」ではなく「何をやらないか」に注目してみましょう。この視点は、効率的に目標を達成するために非常に有効です。
例えば、仕事を効率化したい場合、まずは「無駄な打ち合わせ」や「不要なタスク」を洗い出し、それを排除することから始めます。特に公務員の仕事は、毎年何かしら新たな仕事や報告文書が増えるため、増えた仕事量と同じ量の仕事を減らさなければ定時で帰ることはできません。
この考え方をモチベーションに応用するとどうなるでしょうか。
「モチベーションを下げる要因」を取り除くことです。つまり、やる気をそぐものを一つひとつ潰していくことで、結果的に自然と行動を継続できるようになるのです。
ここで思い出されるのが、国語の教科書でおなじみの「ルビンの壺」です。白黒の対比によって、壺の形と人物のシルエットが同時に浮かび上がるあの有名な図形です。
これをアナロジーとして考えると、モチベーションを下げる要因を明確にすることで、モチベーションを上げる要因が自然と浮かび上がるということになるのではないでしょうか。
モチベーションを下げる要因を見つける
では、具体的にモチベーションを下げる要因にはどんなものがあるのでしょうか?以下にいくつか例を挙げてみます。
- 環境の悪さ
散らかった机や、室温が異常に高かったり低かったりする事務室、上司の怒号が飛び交うような環境では集中しにくく、やる気も低下します。自分の改善できる範囲で作業環境を整えることが第一歩です。 - 高すぎる目標設定
「3ヶ月後にベンチプレス100kg挙げる!」なんて目標を掲げてしまうと、実現できない可能性が高まり、モチベーションが一気にしぼみます。2週間後に80kg×5Rep、1ヶ月後に90kg×3Repみたいに、達成可能なスモールステップに分けることが重要です。筋トレの分かりづらすぎる例ですみません。 - 無理なスケジュール
やるべきことを詰め込みすぎると、心身ともに疲れ果ててしまいます。バッファを設けて余裕を持ったスケジュールを組みましょう。 - 過度な誘惑
当たり前ですが、スマホやSNSの通知、テレビ、ゲームなど、集中力を奪うものが身の回りにあるとやる気を削がれます。これらを意識的に遠ざけることが大切です。特にスマホは頭脳を酷使する際には遠ざけておきたいです。 - 自己批判のしすぎ
なんでこんな簡単なことができないんだといった自己批判も、モチベーションを著しく低下させます。完璧を目指すのではなく、できたことをポジティブに捉える心構えが必要です。
モチベーションの「下げ方」が実は近道かも?
モチベーションに関する議論は、「どうやって上げるか」に焦点が当たりがちです。しかし、その前に「下げる要因をなくす」というシンプルなアプローチを試してみる価値は大いにあります。
例えば、部屋を片付け、目標を小さく設定し、誘惑を排除する。それだけで、わざわざやる気スイッチ的なものを探す必要がなくなり、自然と物事に集中できるようになるはずです。これは、努力する方向性を見直すという意味でも、非常に有効な方法かと思います。
おわりに
モチベーションは一時的な感情であり、それに頼るだけでは継続は難しいものです。大切なのは、「モチベーションを上げること」ではなく、「モチベーションを下げる要因を取り除くこと」だと思っています。そして、最終的には「習慣化」によって、感情に左右されずに行動を続けることが理想的かなと思いました。
次回、何かを始めようと思ったときには、ぜひ「モチベーションの下げ方」を意識してみてください。それが逆説的に、最も自然でストレスの少ない成功への道になるかもしれません。
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