プレゼント選びの難しさ

プレゼントを贈るというのは、実に難しいものです。何を選ぶか、どのくらいの価格帯にするか、そして何より相手にどう受け取られるか。プレゼントは「気持ちが大事」とは言われるものの、実際にはその「気持ち」の伝え方次第で、成功にもなれば、軽い事故にもなりえます。

私自身、プレゼントにはそれなりのこだわりがあり、基本的に「予算を決めて、その価格帯では高級な部類に入るものを買う」という方針をとっています。特にお菓子などは、価格による味の違いがはっきり出やすいと感じます。300円のチョコと2,000円のチョコでは明らかに味の差を感じるのに、4,000円のチョコが2,000円のチョコの2倍美味しいかと言われると、そうでもない。効用逓減の法則がここにも適用されるのでしょうか。

相手が何でも喜んでくれるほど悩む問題

プレゼント選びの最大の難関は、「何をもらっても嬉しい!」というタイプの相手です。喜んでくれるのはありがたいのですが、裏を返せば何を選んでもOKというわけで、そのぶん選択肢が無限に広がり、逆に悩むことになります。

例えば私の妻は、基本的にどんなプレゼントでも喜んでくれるタイプです。しかしそれゆえに「じゃあ何をあげるのがベストなのか?」という難題に直面するのです。去年の冬、寒そうだったので「こたつソックス」をプレゼントしたところ、大変喜んでもらえました。今でも毛玉だらけになりながらも愛用してくれています。こういう成功体験があると、「よし、次も完璧なプレゼントを!」と意気込んでしまうのですが、これがまた難しい。

プレゼント選びの失敗例:日焼け止め事件

プレゼントの難しさを痛感したのは、高校2年生のホワイトデーのことです。当時、女子テニス部の同級生からバレンタインのチョコをもらいました(嬉しい!)。お返しには、お菓子に加え、「これから日差しが強くなるし、役立つかな?」という善意100%の気持ちで女性向けの日焼け止めを選びました。

ところが、渡した瞬間の相手の反応は、「ありがとう!私そんなに色黒かったかな?(笑)大切に使うね!」というもの。いや、違うんだ、そういう意図ではなかったんだ! しかし、その場で「そういう意味じゃなくて…」と必死に弁解するのも余計に怪しくなりそうだったので、黙って頷くことしかできませんでした。プレゼントとは、相手の受け取り方次第で意味が変わってしまう、繊細なコミュニケーションツールなのだと学んだ瞬間でした。

バレンタインとホワイトデーの攻防

今年のバレンタインデー、私は妻から「パワーグリップ」という筋トレ用の握力サポートギアをもらいました。これは、以前から妻のものを頻繁に借りていた経緯があることから、まさに「欲しかったけど自分では買っていなかった」アイテム。ドンピシャのプレゼントに感動し、「いやー、俺のことをよく見てくれているな!」と感心しました。

しかし、妻の言い分は少し違い、「毎回貸すの面倒だったから、自分用を買ってもらった方が楽かなと思って」とのこと。いやいや、それはもう照れ隠しに違いありません。たぶん。きっと。

そんな素晴らしいプレゼントを受け取った私は、当然、ホワイトデーには同じくらい気の利いたお返しをすべきでした。が、結果的には「普通じゃん」と言われるようなお返しを用意することに。具体的には、職場近くの洋菓子屋さんで生ケーキとチョコレートを買いました。妻の反応は、「一緒に食べるのね。なるほど」とのこと。これは、もしや「つまりこれはプレゼントというより共同消費では?」という含みがあったのではないかと、後からじわじわと気づきました。

プレゼント選びの極意はあるのか

プレゼント選びにおいて、「価格帯の中で高級なものを買う」という方針を持っているものの、これもまた万能ではありません。例えばネクタイなら、1本3万円以上になると質が格段に違うと感じるのですが、3万円のネクタイを毎回プレゼントするわけにもいかない。

また、たくさんあっても困らないものの中で高品質なものを選ぶ、というのもひとつの方法です。例えばカトラリー類などは、高価格帯のものを選ぶことで「普段使いするけど自分では買わないもの」として喜ばれることが多い気がします。ただし、相手が「そもそもそんなにカトラリーにこだわりがない人」だった場合、「へえ、高級なスプーンだね」くらいのリアクションで終わる危険もあります。

プレゼントは難しいからこそ面白い

こうして振り返ってみると、プレゼント選びは一種の知的ゲームのようなものです。相手のことを考え、観察し、最適解を導き出す。脳トレにもなりそうですし、成功した時の達成感も大きい。

とはいえ、私はまだまだ未熟なプレゼント選びの初心者。今年のホワイトデーのお返しは、まだ続きがあるので、明日のチョコレートで巻き返せるかどうかが勝負どころ。ここで妻に「これは考えたね!」と言わせることができれば、プレゼント選びのスキルも一歩前進したと言えるかもしれません。

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