VDSL方式でフルリモートは可能か──引越しを控えた中年男性のつぶやき

絶賛引っ越し準備中の私です。

引っ越しに向けて、少しずつ準備を進めているなかで、ふと立ち止まって考えてしまうのは、家具の配置でもなく、カーテンの色でもなく、「ネット回線、大丈夫かな?」という、なんとも現代的な不安です。

というのも、私自身は公務員から税理士として独立予定で、今後は自宅を事務所にする計画があります。そして、それ以上に気になるのが、妻が完全リモート勤務であるということです。

「ネットが安定していない家に住む」というのは、いまや電気や水道の供給が不安定な住まいと同じくらいの問題になり得ます。現在、ある物件についてネット回線の種類を管理会社に確認しているところなのですが、VDSL方式の可能性があるという話も出てきており、その点が今後の判断材料として非常に気になっています。


VDSL方式とは何か

ざっくり言えば、VDSL(Very high-bit-rate Digital Subscriber Line)は、建物の外までは光ファイバーでつながっていて、建物内では電話回線(メタル線)を使って各部屋にインターネットを届ける方式です。

マンションなどの集合住宅でよく採用されているこの方式は、最大通信速度が下り100Mbps程度とされています。ただし、これは理論値であり、実際には設備状況や他の住人の利用状況によって大きく変わります。時間帯によっては10〜20Mbps以下になることも珍しくありません。

対して、いわゆる「光回線(光配線方式)」では、各戸の室内まで光ファイバーが直結されており、安定して1Gbps以上の速度を出すことも可能です。

この違いは、動画視聴やネット検索のような日常利用ではあまり問題にならないかもしれませんが、仕事でネット回線を使う場合には無視できない要素になります。


フルリモート勤務に耐えうるのか?

では、VDSL方式の通信環境で、フルリモート勤務は可能なのでしょうか?

結論からいえば、「できなくはないが、場合によっては不安定さに悩まされる」というのが私の現時点での理解です。

一般的なWeb会議システム(ZoomやGoogle Meetなど)を使用する際に必要な通信速度は、上り下りともに2〜3Mbps程度。これだけを見ればVDSLでも問題ないように思えます。

しかし、実際の業務では、画面共有や録画機能の利用、大容量ファイルのアップロードなどが重なり、より高い通信負荷がかかります。妻の勤務先では一度に数十人規模のWeb会議に参加することも多く、こうした状況で回線が混雑すると音声や映像が途切れる可能性も出てきます。

「すみません、ちょっと音飛びしてるみたいです」と言われるたびに、家庭内インフラ担当としての心がザワつくことになるかもしれません。


ネットゲームも意外なリトマス試験紙

もう一つ、我が家にとって無視できないのが、オンラインゲームの存在です。私も妻も、いわゆる“ネットゲーマー”というわけではないのですが、たとえば「ドラクエ10」などのMMORPGはプレイしています。

オンラインゲームでは、単に速度が出ればいいという話ではなく、むしろ通信の安定性や遅延(ラグ)の少なさが命です。ちょっとした回線の不安定さで、ゲームが強制終了したり、操作が遅れて致命的なミスにつながったりするのです。

仕事でも遊びでも、インターネットを介して他人と関わる機会が多い時代。だからこそ、回線品質はもはや「娯楽のための贅沢」ではなく、「日常の安心」の土台になっていると感じます。


対応策を考える

仮にその物件がVDSL方式だった場合、どうするか。現時点で考えているのは以下の2つの方向です。

  • ホームルーター(SoftBank Air、docomo home 5Gなど)を導入する
  • VDSLを利用しつつ、実効速度に不満があればポケットWi-Fiを併用する

どちらも万能ではありませんが、万が一に備えてバックアップ回線を用意する発想は大事だと思っています。税理士業務においても、電子申告やクラウド会計ソフトの使用が当たり前になっており、「回線の不具合で業務が止まる」といった事態は、できれば避けたいところです。


「ネット回線」は新しい時代のインフラ

税理士として独立しようとする身としては、自宅が事務所になる予定です。来客対応までは想定していないにせよ、ZoomやChatwork、Slackなどを使ったオンライン面談や打ち合わせは日常茶飯事になるはずです。

そのときに、「すみません、うちVDSLなのでちょっと途切れやすくて……」と言うのは、少し頼りなく映るかもしれません。

もちろん、物件選びにおいてネット回線だけで決めるわけではありません。立地や間取り、日当たり、設備、管理の良し悪し──さまざまな要素を総合的に判断していくことになります。

しかし、「フルリモート勤務が成り立つインフラがあるかどうか」は、もはや家を選ぶうえでの最重要項目の一つになったのだと、今回強く実感しています。


最後に:住まい選びは働き方選び

「3つのものを変えれば人は変わる」という考え方があります。住む場所、人間関係、時間の使い方。独立という人生の転機を前に、そのすべてが大きく変わろうとしています。

今回、特に「住む場所」に意識が向いたことで、「その場所でどう働くか」「どう暮らすか」をより深く考えるようになりました。そして、その根っこには、やっぱりインターネット回線の問題があるのです。

次の内見では、間取り図よりも先に、「この物件、光回線引けますか?」と聞いてしまいそうな自分がいます。

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