「え~!? 全然見えないです!もっとお若く見えますね^^」
こういうセリフ、これまで何度か言われてきました。
とりあえず、否定はしないでおきますが、内心では「それ、どう受け取るのが正解なんだろう」と複雑な気持ちになります。若く見えると言われて悪い気はしない。…でも本当にいいことなのか?と言われると、ちょっと疑問です。
この歳になると、「若く見える」と言われることに、手放しで喜べなくなってきました。
むしろ、年齢より若く見られることが、足かせになることが多い気がしています。
若く見えるのは、褒め言葉か?
そもそも「若く見える」って、どういう意味なのでしょうか。
年齢相応に見えない。つまり、人生経験や年輪を感じさせない。そう言われているようにも受け取れます。
もちろん、恋愛市場においては、見た目の若さがアドバンテージになることもあるでしょう。
ただ、ビジネスシーンではどうか。特に、権威性や信頼性が求められる仕事においては、見た目の幼さがデメリットになるケースがあります。
実際、私自身の話で言えば、30代前半の頃、よく20代に間違えられていました。
別に美容にこだわっていたわけでもなく、アンチエイジングの努力をしていたわけでもありません。単純に、表情に苦労がにじみ出ていなかったのだと思います。ストレスが少なく、世間知らずな雰囲気があったのかもしれません。「経験のなさ」が顔に出ていたのでしょう。
「若い=未熟」と見られる職場で
私は現在、国税職員として最後の任地となる税務署(いわゆる支店)に勤務しています。
国税の世界では、通常40代半ば~50代以上が管理職や上席に就いています。30代で上席になることは稀…というか、上席(税務4級~5級)クラスの30代職員は庁や局でバリバリで働いているのが大半であり、私のようなケースは少数派です。
私自身、税務署に約10年ぶりに戻ってきましたが、「若い=経験不足」と見られがちで、最初は舐められているなと感じることが多々ありました。
もちろん、これは見た目だけの問題ではなく、そもそも支店の空気感や人間関係の濃さにも起因しているとは思います。
ただ、それでもやはり、外見的な印象が周囲の接し方に影響を与えることは否定できません。
そんな状況の中で、「この人、本当にこの仕事わかってるのかな?」という空気を感じたことも何度かありました。
正直、「わかってるわけないだろ、この前まで庁にいたんだから」と心の中で突っ込みそうになったこともあります。むしろ、そういった前任部署の話はあえて伏せて、自分がすっぴんでどこまで通用するのか、支店での立ち位置を試してみたいという気持ちも少なからずあったように思います。
それが吉と出たのか凶と出たのかはさておき、少なくとも若く見られることや前職の肩書きではなく、今の自分自身のふるまいや仕事ぶりで勝負したいという思いは確かにありました。
税理士としても「若く見える」は不利?
私の今後のキャリアは、税理士としての独立です。
この世界では、40代でもまだ「若手」と見られます。
それは良いことでもありますが、実は「若すぎて不安」と思われることもあるようです。
特に、開業税理士にとって最初の印象は大事です。
クライアント側も「この人に任せて本当に大丈夫だろうか」と思いながら面談に来るわけです。
ここで「若く見える」ことが、信頼感の阻害要因になってしまう可能性があります。
同じ内容を話していても、見た目が10歳年上の人の方が説得力がある――そんな現実も、確かにあるのような気がします。
経験を積んでいるからこそ、失敗してもいい
そうは言っても、私は今、若手税理士として新しい挑戦を始めようとしています。
「税理士としての実績はまだないけれど、国税での経験はあります」
そう胸を張って言えるだけの下地は、自分の中にあるつもりです。
そして何より、これからは「失敗できる時期」でもあると自分に言い聞かせています。
というのも、国税の仕事においては、失敗は基本的に許されません。
「未然に防ぐ」のが前提の仕事ですし、年齢を重ねるほど、責任は重くなっていきます。
その点、独立してからの挑戦というのは、「失敗から学べるチャンスがある」という意味で、実に健全です。
税理士としての挑戦だけでなく、発信活動、執筆、ブログ運営など、新しい取り組みを始めていける自由があります。
年齢に縛られることなく、「若く見られる」ことの良し悪しを一度脇に置いて、実績で評価されるように努力していこうと思います。
「若く見える」の呪縛を超えて
話がいろいろと逸れましたが、今日伝えたかったのは以下のようなことです。
アラフォーにもなれば、「年齢より若く見える」という評価が、必ずしもポジティブではなくなることもあります。
特に、責任を求められる仕事、信頼が第一の職業では、外見の若さが足を引っ張ることさえあるのです。
ですが、見た目の印象は変えられなくても、中身を充実させることはできます。
これからの私は、若く見られようが、老けて見られようが、自分の仕事と生き方で評価されるような人間でいたい。
そう思っています。
税理士業界では「若手枠」にまだ片足を突っ込んでいる間に、たくさんの挑戦をして、たくさんの失敗をし、たくさんの学びを得ていきたいと思います。
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