税務署の人事異動、内示の日がやってきた

今年もこの日がやってきました。
6月26日午前11時――それは、全国の税務署職員が固唾をのんで待つ、「内示」の瞬間です。私もかつては、その一人でした。いや、正確には今年もその一人ではあったのですが、7月10日をもって退職するのでちょっとだけ立場が違います。

税務署職員の人事異動スケジュール

ご存じない方のために少し解説しますと、税務署職員の人事異動日は原則として7月10日です。
そして、その2週間前――つまり6月26日に、「あなたは7月10日以降、この部署に異動です」と、直属の上司から口頭で内示されるという仕組みになっています。

ちなみに、この「2週間前ルール」が始まったのは令和元年(2019年)からで、それ以前の平成時代は、異動の「1週間前」に内示されていました。
1週間前の内示では、転居を伴う異動の場合、必ずしも7月10日に着任しなければならないわけではないとはいえ、準備期間としてはかなりタイトです。
「人事異動は人生を変えるイベント」などと揶揄されるくらいにはインパクトのある行事なのに、引っ越し準備などが突貫工事になるのは避けたいところです。

希望叶わず泣く若手職員もいる

この内示の日、庁舎のあちこちで静かな(あるいはにぎやかな)ドラマが展開されます。
希望通りの異動が叶い、笑顔になる人がいる一方で、希望が通らず落ち込む人、あるいは予想外の遠方異動に動揺する若手もいます。

私もかつて、思い描いていた部署とは異なる内示を受けたことがありました。
もちろん、国税の仕事はどこに行ってもやりがいがあるものですが、それでも「自分のやりたいこと」と「組織の都合」がぴったり一致することばかりではありません。

リモート勤務だった頃の内示

国税庁で勤務していた頃は、リモートワークが導入されていた時期でした。
そのため、異動がないと見込まれる年は、自宅から業務を行い、11時15分頃に所属長から電話がかかってくる――という、少し味気ない内示の受け方をしたこともあります。
でも、その年の午後は休暇を取ってジムに行ったりもして、なんだかんだで記憶に残る1日となりました。

それでも、やはり内示は内示です。メールではなく、必ず「声」で伝えられます。
電話越しとはいえ、「来年もよろしく」と言われると、やっぱり身が引き締まる思いがしました。

ラストイヤーはどうなる?

今年は少し特別です。なにせ、退職予定者です。

有給休暇を消化している真っ最中で、今日も一日お休みをいただいています。
とはいえ、「退職予定者にも内示はあるのか?」と気になる方もいるかもしれませんね。

ご参考までにお伝えすると、私が本日受けた内示は、こうでした。

「7月10日付で退職予定です」

以上。それだけです。異動先などの情報は一切開示されませんでした(当然ですが)。
仮に「やっぱり退職しません」となった場合、どこの部署に異動になるか――そんな話ももちろんありません。まあ、そんなことを聞いたところで、退職を撤回するわけでもないですしね。


スリッパ異動の後任者

ちなみに、今年の私の後任者は、同じ税務署内でのいわゆる“スリッパ異動”で決まったそうです。
「スリッパ異動」とは、同じ庁舎内にいる人が後任として異動することを、俗にそう呼びます。引っ越しも不要で、通勤経路も変わらず、まさにスリッパのまま部署だけ変わるというスタイルです。

後任者の氏名についても、内示と同時に教えていただきました。

最後の内示の日に思うこと

2025年6月26日は、私にとって最後の内示の日となりました。

今後は、内示を受ける立場から、異動情報を外から見る側、つまりOBの視点へと変わっていきます。
そう思うと、少し不思議な気持ちになります。

「人事は水もの」とはよく言われますが、あながち間違いではありません。来年の自分の居場所は、案外、他人が決めてくれるものです。
そうした流れの中に身を置いてきたこと、そしてそこから一歩を踏み出すことに、改めて身の引き締まる思いを感じています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました