公務員宿舎から賃貸住宅へ――引っ越しと暮らしのマーケットとショーシャンクの空に

約5年住んだ国家公務員の世帯宿舎を、今月で退去することになりました。

結婚を機に引っ越してきたこの宿舎とも、いよいよお別れです。特段、愛着があるというわけではありませんが、それなりに長く住めばやはり感慨あるものです。

さて、7月は異動の季節。転居を伴う異動をされる公務員の方も多いのではないでしょうか。今日は、私が実践してきた引っ越し業者選びの話を、誰の需要があるのかはさておき、つらつらと語ってみたいと思います。

ベネフィットステーションの甘い誘惑

国家公務員であれば、福利厚生として「ベネフィットステーション」というサービスを利用できます。宿泊施設やレジャー施設の割引だけでなく、引っ越し業者との提携もあり、そこそこ割引されるという話も耳にします。

しかし、いざ蓋を開けてみると、提携しているのは大手の引っ越し業者ばかり。確かに安心感はありますが、恐らく価格もそれなりな気がします。

私はこれをスルーして、別の選択肢を選びました。

暮らしのマーケットとの出会い

結婚を機に、独身ワンルームから世帯宿舎3LDKに引っ越した2020年10月。あのときも、暮らしのマーケットというプラットフォームを利用しました。

「暮らしのマーケットって何?」という方にざっくり説明すると、個人事業主や小規模業者がさまざまなサービスを出品しており、ユーザーが口コミや評価を参考に依頼できる、いわば“ネットのなんでも屋さん”のようなサービスです。

引っ越し業者も多く出店しており、私はその中から、評価の良さそうな業者さんを選びました。結果、料金はなんと21,800円。しかも、作業員は一人。ドラム式洗濯機の搬出や組み立て式ベッドの分解まで、黙々と一人でこなしてくれました。

今思えば、21,800円でその働きぶりは、もはや価格破壊を通り越して労働哲学の領域です。

再び暮らしのマーケットへ

今回の引っ越しでも、当然のように暮らしのマーケットを利用するつもりです。

大手業者の手厚いサービスも確かに魅力ですが、私は少しでもコストを抑えたいタイプ。ベネフィットステーションは、あくまで「選択肢の一つ」として認識するようにしています。今のところ、私の中では孔明の罠扱いです。使ったことがないので、本当に孔明の罠かは定かではありませんが、あのサイト構造と、「最大○%OFF」の文字列がどうも策士の香りを漂わせていて気になります。

暮らしのマーケットは、業者さんと直接やり取りできる点も気に入っています。スピード感がありますし、交渉の余地もあります。口コミの信ぴょう性については判断が分かれるところですが、少なくとも「この人に頼んでよかった」と思える出会いがあったのは事実です。

荷物とショーシャンクと幽霊出社

荷造りもボチボチ行っていかなければなりません。

また、自宅の荷物だけでなく、職場にある私物も整理しなければなりません。特に書籍が多いですね。

退職まであと1週間。出社は明日がラストで、来週の引継ぎは幽霊出社になりそうです。肩書は残っていても、すでに後任がやってきている状態では、どうしても立ち位置がふわっとしてしまいます。

そんな中で、少しずつ職場の荷物を自宅に持ち帰る日々。まるで映画『ショーシャンクの空に』で、主人公アンディが毎日少しずつ掘ったトンネルの土をポケットに入れて外に捨てていたように、私は通勤バッグに詰めた書籍を、静かに、誰にも気づかれぬように持ち帰っています。

終わりゆく公務員ライフと、新しいスタート

宿舎を出るということは、公務員としての生活から本格的に離れるということでもあります。

私の場合、税理士として独立するという新しいステージが控えています。とはいえ、慣れ親しんだ職場や住まいを離れるというのは、やはり少しばかり感情が動きます。

「別に公務員宿舎に未練はないよ」と思っていても、いざ最後の鍵をかける瞬間になったら、きっと何か感じるんだろうなと、今からちょっと身構えています。

引っ越しの段ボールに詰めるのは、ただのモノではなく、過去の自分の記憶や時間のかけらでもあるのかもしれません。だからこそ、引っ越しは「次の一歩への儀式」であるのかと思います。

月末には、新しい住まいで段ボールに囲まれていることでしょう。

それではまた、続報をお届けできる日まで。

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