国税職員と仕事の進捗管理

 国税職員として日々の業務を進める中で、どのように効率よく仕事を進めるべきか、悩む方も多いのではないでしょうか。割と同じ部門や係内で仕事の進め方が明確に共有されることは少なく、多くの場合、1年目に習得した方法を元に改良し、自分なりのスタイルを確立していくものではないかと思います。

 今回は、私が現役職員だった際に意識していた仕事の進め方を「総論」と「各論」に分けてご紹介します。

 なお、私自身が特別優れた職員だったわけではありません。ここで紹介する方法論は、数ある選択肢の一つに過ぎません。最も重要なのは、自分なりのやり方を試行錯誤しながら見つけていくことです。その前提を理解した上でお読みください。


総論:仕事を効率化するための基本原則

1. 「開始日」と「期日」の双方を管理する

 仕事の期日管理は、単に期限を予定表に記載するだけでは不十分です。重要なのは、「いつ着手するか」まで具体的に決めることです。
 例えば、決議書の回付期限の期日管理だけしてしまっては、施行月が同月である増差所得100万の決議書と1億の決議書をそれぞれいつの段階でどの程度手をつけていればいいのか、今それぞれがどのような状況なのかが把握不能になって詰みます。

実践例

  •  3月施行に入れたい決議書が2件ある。1件は増差1億で個票が少ないので、個票ベースで審理担当に見てもらおう。早めに根回しをするためにこの日(一旦予定表に入れる)にやる、決議書をセットして正式回付するのはこの日(一旦予定表に入れる)。もう1件は増差100万だし、審理担当も2つの決議書は同時に見れないから少しズラしてこの日(一旦予定表に入れる)にしよう。そしてこのスケジュール感で行くことを審理担当に情報共有しよう。

 みたいな感じでしょうか。ここに重審の日とか調査結果説明予定日とかが予定表に入り込んで複合的になるイメージです。

2. 情報の一元化を図る

 業務関連の情報が複数のシステムや文書に分散していると、管理が煩雑になり、ミスが起こりやすくなります。これを防ぐために、Outlookを活用して情報を一元化することを推奨します。

具体的な方法

  •  作業依頼が来たら、そのメールをコピペして、今やるか、いつやるか、そもそもデマケーション的に作業が不要なのかを瞬時に判断し、やる日のOutlookの予定表にコピペするだけ
  •  その場で判断できなくても、期限を見据えてある程度保守的にこの日にやるとやる日を決め打ちした方がいいです。このOutlookの月別一覧を見るだけで、全体的な流れが見えてくるので、あまり緊急性、重要性を気にせず予定表を埋めていきます。予防講話の受講もインフルエンザの予防接種も並列な行事です。
  •  LANトレをこの日にやる、この日が内部担当への書類の回付期限、これらは同じ日の予定になっていいのです。回付期限にLANトレやってたら白い目で見られそうと思われるかもしれませんが、たまたまそうなったのであれば無視してLANトレをやりましょう。

 また、言った言わないを防ぐために人とのやりとりはなるべく口頭ではなくメールで行いましょう。     

 DXガ〜と新しいものに飛びつくのではなく、既存のメールやIBKをフル活用することがDXのスタートだと思っているのは私だけでしょうか。

 特に、いついつ誰にこれを言ったというのは口頭だと忘れがちになりますので、自分自身への備忘も兼ねてメールでやりとりがいいと思います。あのときこう言いましたよねといいやすいですし。


具体的な業務の進め方

LANトレーニングの受講指示を受けた場合

 受講期間が例えば「8月1日〜10月31日」である場合、スケジュールを具体化します。

  • 8月1日が直出直帰であるとするならば、翌日(8月2日)の朝に受講時間を確保。
  • Outlookの予定表に「8月2日8:30〜9:00 LANトレ「●●」受講」「10月31日 LANトレ「●●」期限」と登録。

 ほかの作業依頼についても同じような要領でOutlookに開始の日と期限を埋めていきます。そうすれば、その日何をやらければいけないのかをイチから考える必要はありません。

その他のポイント

1. 常識に囚われない

 日々の業務において、「これが当たり前」とされる方法でも非効率に感じる場合は、改善案を提案してみましょう。現状に疑問を持ち、より良い方法を模索する姿勢が重要です。

2. DX(デジタルトランスフォーメーション)の第一歩は既存ツールの活用

 新しい技術やツールに飛びつく前に、既存のシステムを最大限に活用することがDXの第一歩です。例えば、OutlookやIBKをフル活用することで、かなりの時短になります。


まとめ

 国税職員としての業務は多岐にわたり、効率的な進捗管理が欠かせません。本記事で紹介した方法は一つの参考例に過ぎませんが、実践を通じて自分なりのスタイルを確立するヒントになるはずです。

 最も重要なのは、現状に満足せず、常に改善を意識することです。国税職員に限らず、ここまで読んでいただいた皆さんが効率よく仕事を進められることを願っています。

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