人生の負け方を決めると、勝ち筋が見える理由|元国税職員の視点

16年を振り返るシリーズの最中ですが、今日は少し趣向を変えて「人生、どこで負け所や諦め所を早めにつくるか」というテーマで書いておきたいと思います。

今後の人生を考えるうえで、全ての分野で勝ちを獲得することはできません。自己啓発書では「勝つべき分野を選べ」とよく書かれていますが、私はむしろ「どこでサッサと負けるか」を決める方が重要だと思っています。

この考え方は、私の場合は麻雀から着想を得ました。麻雀って、全局アガることなんて普通ありません。ツモ次第ではどうしようもない局面が必ずある。例えば、相手がリーチをかけてきたとき、自分の手が一向に進まず、幸いにも安全牌が数枚あるなら「ベタ降り」する。この「ベタ降り感覚」こそが大事だと思うのです。

ベタ降りは逃げではありません。負けを小さくまとめ、次の局で勝負できる余力を残す戦略です。実際、私は麻雀を打っていて「降り切った」ことで流れが変わる経験を何度もしました。降りる場面で潔く降り、勝負する場面では腹をくくって勝負する。結果としてトップを取れなくても、「自分の麻雀を貫いた」という納得感が残ります。

この感覚を人生にも当てはめると、負け所を設定することのメリットは明確になります。

  • 余計な消耗を防げる
  • 心のエネルギーを勝負すべき分野に集中できる
  • 自分の価値観や優先順位がはっきりする

一方で、全部勝ちに行こうとすると、エネルギーもお金も分散し、結局どれも中途半端になる可能性が高い。国税職員時代、私はこれを身をもって学びました。

私が設定した負け所

具体的には、私は次の4つを早めに負けにしました。

1. マイホームと車
今のところ、どちらも所有していません。子どもができたらマイホームや車が便利な場面もあるでしょうが、住宅購入は突き詰めれば不動産投資です。目利きに自信がない私にとって、数千万円の借金をして経費にもならない買い物をすることには抵抗があります。父が経営者時代に借金返済で苦労していた姿も影響しています。

2. キラキラ生活
高級店やブランド品を追い求めることも諦めました。独身時代に異性と高い寿司を食べに行ったこともありました。照明が明る過ぎて、また、食材が主役みたいな雰囲気もあり、親密になるにはあまり向いていないかなぁと感じました。翻ってパパ活にはPJにとって向いているのかもしれませんが、私の生活に馴染まないと悟りました。清潔感のある服と適度に美味しい食事があれば十分です。空腹こそが一番のスパイスとはよく言ったものです。

3. SNSでの承認
異性との交際や資産額をSNSで誇示することには興味がありません。「本当に〇〇な人は〇〇である」構文はあまり好きではありませんが、それでも敢えて使わせていただくと、本当に満たされている人は、それをわざわざ発信しないのではないかと思います。税理士としても、資産額などを推認され得る発言は適性を欠くと感じます。まぁそれ自体(資産〇億円とか年収〇千万など)がコンテンツ化しているアカウントはその限りではないのかもしれませんが。

4. 出世
独立を選んだ時点で、国税職員としての出世は諦めました。「何かを捨てなければ新しい何かは得られない」というシンプルな真理です。出世を目指す道も立派ですが、私はそこで勝負しないと決めたことで、別の道に踏み出せました。

負けを作ることで見える勝ち筋

負け所を作ることは、格好悪いように見えるかもしれません。しかし実際には、自分が勝つべき分野が浮き彫りになり、そこに集中できます。

麻雀でも、全ての局で勝ちを狙う打ち方は一見勇ましく見えて、結果的に大負けします。逆に、降りる局は徹底的に降り、勝負局で一気に攻める方が最終的な成績は安定します。人生も同じで、「負けを作ることは戦略」だと考えています。

私の場合、その戦略が「独立して税理士として生きる」という選択につながりました。負けを決めた分野には未練を持たず、勝つべきフィールドで全力を尽くす。そんな感じで「自分の人生を貫いた」といえるように今後もやっていきたいと思っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました