我が家の寝室事情から
突然ですが、夫婦って一緒の部屋で寝ていますか?それとも別々の部屋で寝ていますか?
私たち夫婦は結婚当初、公務員宿舎に住んでいました。3LDKの間取りで、洋室2部屋にそれぞれベッドを置き、5年弱は別々の部屋で就寝していました。生活リズムが違っても気兼ねなく眠れるので、とても快適だったのです。和室は在宅勤務用にデスクを並べ、仕事部屋にしていました。
しかし、公務員を退職して宿舎を出た後、自宅兼事務所の賃貸に引っ越すと状況が変わりました。新居も3LDKですが少し手狭で、1部屋は事務所用、もう1部屋は妻の仕事スペースに。残った和室にベッドを2台並べ、同じ部屋で寝ることになったのです。
正直、別々で寝ることに特別なこだわりはありませんでしたが、結婚当初に「別々で寝てる」と話すと友人に「珍しいね!」と驚かれました。やはり世間的には夫婦一緒の寝室が一般的なのかもしれません。
実際に一緒に寝てみると、夜中にそのまま声をかけられるのは悪くありません。私のいびきがうるさいときは妻に物理的に口を塞がれているようですが、私は寝ていて気づきません。
日本の夫婦はどうしている?
では、日本全体ではどうでしょうか。調査によると、「同じベッドで寝る」夫婦は36.8%、「ベッドを2台並べて同室」が36.8%、「別室で寝る」夫婦が26.5%と、ほぼ3パターンが均等に存在しています。つまり「一緒に寝るのが普通」というイメージほど単純ではありません。
また、結婚年数や年代によっても傾向が違います。結婚1年目で別室は11%ですが、5年目には43%に増えるというデータもあります。30代から40代にかけては特に別室率が上昇し、40代では半数が別々に寝ているとの報告もあります。70代以上では約47%が別室という結果もあり、熟年になるほど「熟年別寝」状態が一般的になるようです。
日本の文化的背景として、同じ部屋に布団を並べて寝るスタイルも根強く残っています。必ずしも「同じベッド=一緒」「別室=仲が悪い」というわけではなく、多様な形が共存しているのです。
海外は「一緒」が基本?
一方、欧米では夫婦が同じベッドで寝るのが当たり前というイメージがあります。実際、キングサイズやクイーンサイズのベッドを夫婦で共有するのが一般的です。
しかし近年、アメリカでは「スリープ・ディボース(睡眠離婚)」という言葉が登場し、約3割以上が別々に寝ると答えています。特にミレニアル世代では43%が別寝を実践しており、若い世代ほど柔軟に選択しているのが特徴です。
睡眠の質を優先する「前向きな別寝」であり、いびきや生活リズムの違いが理由です。睡眠不足は夫婦関係のストレス源になるため、あえて距離を取ることで関係を良好に保とうとする考え方が広がっています。
文化的な違いとして、欧米では赤ちゃんの頃から子どもを一人で寝かせ、子ども部屋を与えるのが一般的です。そのため「母子同室・父別室」という日本のスタイルは驚かれることも多いようです。日本では9割以上の母親が子どもと一緒に寝ているという調査もあり、この点は大きな文化差と言えるでしょう。
夫婦が別々に寝る理由
夫婦が別室を選ぶ理由はさまざまです。代表的なものを整理すると――
- 生活リズムの違い:就寝・起床時間が合わない
- いびきや物音:相手のいびきや寝言で眠れない
- 出産・育児:母子が同室になり父は別室へ
- 一人時間が欲しい:就寝前に読書や趣味を楽しみたい
- 室温や寝具の好み:暑がりと寒がりで対立
- 健康上の理由:感染症や体調不良で別室に
- 物理的な問題:部屋が狭い、ベッドが置けない
調査では「別室を提案したのは妻」というケースが6割以上を占め、特に「夫のいびき」がきっかけになることが多いようです。
一緒に寝るメリットもある
もちろん、一緒に寝ることにもメリットがあります。スキンシップによる安心感や、オキシトシンというホルモン分泌でリラックスできるといった効果です。実際に「おやすみ」と声を掛け合えるだけでも心が安らぎます。
ただし、無理して一緒に寝て睡眠不足になるのは逆効果。調査では9割以上の夫婦が「別室にしてよかった」と答え、その理由の多くは「よく眠れるようになった」でした。デメリットとして「寂しさ」を挙げる声もありますが、少数派です。むしろ「適度な距離が夫婦円満につながる」と考える人も多いのです。
夫婦にとって大事なのは「心地よさ」
結論として、夫婦の寝室スタイルに正解はありません。日本でも海外でも、多様な形が存在しています。
大切なのは、夫婦がお互いにとって快適な選択を話し合って決めることです。同じベッドで寄り添うのもよし、隣の部屋から「おやすみ」と声をかけるのもよし。形はどうあれ、夫婦が納得していればそれが最良のスタイルです。
我が家もこれから子どもが生まれたり、年齢を重ねたりすれば、また寝室事情は変わるでしょう。そのときどきで柔軟に選んでいこうと思います。ちなみに今夜も私は妻と同じ和室で眠る予定ですが、いびきで追放されないことを祈っています。
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