突然ですが、弊事務所は東京都府中市にございます。引っ越してからおよそ1か月、日々の食事は主に私が担当しています。もっとも、毎日の献立を考えていると、たまには外食で気分を変えたくなるものです。外食は出費こそ増えますが、市内のリサーチだと自分に言い聞かせて、先日は妻と義父母を連れて府中の名店に足を運びました。
その名も「しんせらてぃ」。孤独のグルメ第9シーズン第4話に登場した中国料理店です。
「孤独のグルメ」の余韻を抱えて
「孤独のグルメ」は、私も妻も好きな作品で、Amazon Primeでシーズン1から10まで一気見したほど。五郎さんの食べっぷりを見て、自分も同じものを食べてみたいと思う日も多々ありました。実際に番組で紹介された店を訪れると、画面越しの食欲が実体験に変わっていく感覚があり、ちょっとした聖地巡礼のような気分になります。
今回のお店は、五郎さんが国分寺から歩いてたどり着いたシーンが印象的でした。ただ実際の立地は主要駅からはなかなか遠く、気軽に立ち寄れる場所ではありません。もっとも私の事務所からは歩いて10分ほど。せっかくの機会なので「義父の誕生日祝い」という大義名分を掲げ、義父母の車に便乗して4人で出かけました。
予約制の特別感
夜の営業は完全予約制で、スタート時間も17時半・18時・18時半の3枠。20時には閉店という潔さです。私たちは17時半の枠で入店。暗めの照明が落ち着いた雰囲気を醸し出し、店内は全部で4テーブルだけ。メニューは短冊にびっしりと並んでいて、何度通っても制覇しきれなさそうなほどの多さでした。
客層は幅広く、家族連れもいれば職場仲間のグループも。小さな空間に料理の香りと楽しげな声が満ちていて、街の人気店という言葉がしっくりきます。
コース料理から始まる宴
初訪問だったので、まずはおすすめの料理が一通り味わえるコースを注文しました。出てくる料理はどれもひと手間かけたものばかり。
最初に印象的だったのはエビチリです。プリッとしたエビに絡む辛味ソース、そこに添えられた細切りのさつまいもが絶妙なアクセントになっていました。甘みと辛さの掛け算はよくありますが、食感でバランスを取ってくるのは新鮮。舌も心も「これはただのエビチリではない」と納得しました。
続いて出てきたのは揚げたカサゴ。外はカリッと、中はふんわり。魚を丸ごと揚げる潔さが、見た目の迫力も含めて食欲を倍増させます。
名物・うなぎの蒲焼きチャーハン
そしてお待ちかねの「うなぎの蒲焼きチャーハン」。孤独のグルメでも五郎さんが食べていた一品です。最初の一口で思わず箸が止まりました。米の香ばしさと蒲焼きの濃厚なタレが絡み、ひと皿で満足度が跳ね上がるような感覚です。
さらに驚かされたのが、添えられてきた「山椒オイル」。ひとさじ垂らした瞬間、口の中に爽やかな痺れと辛さが広がり、チャーハンがまったく別の料理に変わるのです。正直に言うと、このオイルさえあれば落ち葉でもご馳走になるのではないかと思ったほど。瓶詰めで販売していれば間違いなく買って帰っていたでしょう。残念ながらその野望は叶いませんでした。

(これが噂のうなぎの蒲焼きチャーハンだ!)
追加注文と舌の記憶
勢いがついてしまい、コースに加えて麻婆豆腐ともやしの辛いリャンメン(冷麺)を追加しました。麻婆豆腐は花椒の痺れがしっかり効いていて、「これだよ、これ」という感覚に包まれます。リャンメンは喉ごしが良く、辛さで汗がにじむほど。それでも箸が止まらないのは、唐辛子と酸味のバランスが絶妙だからでしょう。
食事中は写真も撮っていたのですが、熱中しすぎていくつか撮り忘れてしまいましたが、それだけ料理に集中していた証拠とも言えるでしょう。
お会計と満足感
気になるお会計は、アルコールなしで4人合わせて15,000円ほど。料理のクオリティと満足度を考えれば、むしろ安いと感じました。外食は贅沢と捉えがちですが、学びや発見があるなら自己投資の一環でもあります。府中市内にはまだまだ隠れた名店が眠っているはずで、これからも税理士としての業務準備の合間に探索を続けていきたいと思います。
府中に越してきてからの生活は、日常と仕事の境界が曖昧になりつつあります。昼は開業に向けた準備、夜はこうした地元の名店探訪。孤独のグルメをきっかけに足を運んだ「しんせらてぃ」での一夜は、食べることの喜びと新しい街での暮らしを実感させてくれました。
これから独立してどんな日々が待ち受けているのか。少なくとも府中には、私の胃袋を裏切らない味があると分かったことが、何よりの収穫でした。
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