年齢を重ねていくうちに、新しいことへの挑戦や、人に勧められたことをやってみるのが億劫になるとよく言われます。確かにそうかもしれません。ただ、幸いなことに私は比較的この年になっても新しいことへの抵抗は少ないほうで、なるべく日々新しいことに挑戦していきたいと思っています。実際、公務員からの独立というのも、大きな挑戦の一つです。一念発起して飛び込んだ、というよりは、気が付いたらこちら側(公務員ではない側)に立っていた、という感覚の方が近いですが。
では、なぜ人は新しいことに対して腰が重くなるのでしょうか。私なりの仮説としては、それが「楽しい」と感じられるまでに時間がかかるからではないかと思います。
筋トレに見る「楽しくなるまでの壁」
私の好きな筋力トレーニングを例にするとわかりやすいです。筋トレを習慣にしていない人が始めても、体型や筋力に効果が出るまでには時間がかかります。早い人でも3か月は必要かもしれません。しかもその間は、ひどい筋肉痛に悩まされ、鏡を見てもほとんど変化がなく、「これ、本当に意味があるのか?」と疑念ばかりが募ります。
一方で、私のようにかつて習慣化していた人間が再開すると、驚くほど早く筋肉が戻ってくるんです。これをマッスルメモリーと呼びます。科学的根拠はさておき、自分自身や周囲の経験からも確かに存在すると感じています。エビデンスは私です。
ただし、その「楽しい」と感じられる境地に至るまでに、多くの人は音を上げてやめてしまう。これが新しいこと全般に共通する現象なのだと思います。
プログラミングの勉強という挫折
筋トレ以外にも同じような経験はあります。たとえば、プログラミングの勉強です。きっと続ければ楽しかったり、効率化につながるのでしょう。しかし、その過程が辛く、向き不向きで言ったら私は向いていないように感じました。それがわかっただけでも収穫といえるかもしれませんが、もっと続けていた自分には今の自分には見えていない景色があったのかもしれません。学びそのものは無駄ではなかったとも思っています。
英語学習という未完の挑戦
英語の勉強もそうです。英語が喋れれば旅行で便利なのは間違いありません。ですが、公務員時代には深く使う場面はなく、「英語を使ってお金を稼ぐ自分」の姿がまったくイメージできませんでした。そのため、中途半端な状態で諦めてしまいました。
TOEICなどのアウトプットの機会を設けなかったため、目に見える成果が実感できずにDUOの定型文を20~30くらい覚えたところで、挫折してしまいました。そういう意味では、英語の勉強をしていた私は、筋トレが続かなかった人と同じなのでしょう。
ブログ執筆と独立準備の現実
そんな私ですが、独立準備の一環として始めたブログは、なんとか続いています。今年から書き始めたのですが、最初の数か月はアクセス数がほとんどなく、「これはただの独り言で黒歴史になるのでは」と思っていました。毎日更新には至っていませんが、少しずつ続けることで、書くこと自体が習慣になりつつあります。
思えば高校生の頃、「さるさる日記」というサービスで毎日日記を書いていました。その経験が、今のブログ執筆の下地になっている気がします。あのときの黒歴史が、いまは多少なりとも財産になっているのですから、人生とは不思議なものです。
独立準備も同じです。最初は手続きや調べごとに追われ、楽しさよりも大変さの方が目立ちました。ですが、続けているうちに「これが形になっていくんだ」と思える瞬間が出てきます。そのとき初めて、新しい挑戦が楽しいと感じられるのだと思います。
コンテンツと「序盤の退屈さ」
新しいことに時間がかかるのは、エンタメの世界でも同じです。私の好きなアニメに「シュタインズゲート」があります。あの作品は序盤8話ほどは退屈なのですが、中盤以降の盛り上がりは尋常ではありません。しかし、最初の退屈さに耐えられず脱落する人の気持ちもよくわかります。私自身も、多くの作品で序盤を耐えられずリタイアしたことは数知れません。
この「退屈な序盤を乗り越えられるか」が、新しいことを楽しむための一つの鍵なのかもしれません。
SNSにみる真逆の例
逆に、楽しくなるのに時間がかからないものもあります。SNSです。スマホを開いて数秒で「いいね」や刺激が手に入ります。これは即効性のドーパミンで、短期的な快楽は保証されています。ただし、その先に長期的な楽しさや深い充実感があるかといえば、必ずしもそうではありません。
「すぐ楽しいが続かないもの」と「続けなければ楽しくならないもの」。どちらに時間を使うかは人それぞれですが、後者に挑戦してみることで得られるものの方が、長い目で見れば残るのかもしれません。
おわりに
新しいことを始めても、楽しくなるまでに時間がかかる。それまでにやめてしまうのは自然なことです。私もプログラミングや英語で挫折してきました。ただ、その一方で筋トレやブログのように、続けてみて良かったこともあります。
だからこそ、最初から楽しさを期待しすぎず、「とりあえず一定期間はやってみる」という気持ちで挑戦してみたいと思います。その先に楽しさがあってもなくても、新しいことに取り組んだという事実は自分の中に残る。そう思うと、今日もまた新しい何かに少しだけ手を伸ばしてみよう、そんな気持ちになります。
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