常識に囚われずに公務を行うこと

 公務員という職業は、業務の性質上、先輩や上司の仕事を参考にして学び、引き継いでいく場面が多く、いわゆる金太郎飴的な職員が生まれやすい環境といえます。

 もちろん、事務処理の手順や規則は遵守しなければなりませんが、仕事のスタイルや進め方については、必ずしも常識とされるやり方に縛られる必要はありません。

 むしろ、既存の常識に囚われない発想や工夫を取り入れることで、仕事が効率化したり、自分自身が楽に業務をこなせたりする場合があります。今回は、私がやってきた細かい具体例を交えながら、常識に囚われない仕事について考えてみたいと思います。


実例

1. 電子決裁の徹底活用

 従来の紙ベースの決裁から電子決裁への移行は、効率化の観点から非常に有効です。

 一元的文書管理システム(IBK)は「使いにくい」と敬遠されがちですが、保存年限や文書分類を確認し、適切に電子化すれば、物理的なスペースや時間の無駄を削減できます。従来紙決裁だった文書も、分類審査でハコを作ってもらってIBKで回付するのが良いかと思います。

 なお、全省庁もこのシステムを使用しているため、他省庁に出向した際に「使い方わかりません。」となると詰むので、早い段階で慣れておくことで、余裕をもって対応できると思います。

2. ノートPCスタンドの活用

 私は使っていなかったのですが、今となっては後悔しているムーブの一つです。

 ノートPCスタンドを使用することで、目線を上げ、姿勢を改善し、作業効率を向上させることが可能です。職場の備品として提供されていなくても、自腹で購入しても十分ペイするのかなと思います。本当はキーボードも自前で調達したいのですが、こっちは情報システム課的にマズいのでしょうかね。

3. 予防講話をはじめとする研修では前列に座る(若手限定?)

 「若手は前の方に座れ」と言われるのが面倒でストレスだったので、ハナから真ん中の前の方に一人で座っていました。変なヤツだと思われないので大丈夫です。むしろ空気の読めるやつだと思われるのではないでしょうか。

4. 筆記用具の色を工夫する

 書類への記載には黒のボールペンが一般的ですが、青やブルーブラックなどを使用することで、自筆部分を瞬時に判別しやすくなります。黒のボールペン縛りというルールが無い限り、自分の手に馴染んだ筆記用具で黒以外のものを使用することは、(微々たるものですが)業務効率の向上につながります。

5. スーツや服装に柔軟性を持たせる

 真っ黒なスーツで外出するのは、個人的には違和感を覚えていました。これは、公務員としての「記号」としての黒スーツなのかもしれません。

 しかし、業務の性質上、課室で特段の指定がない限りは、暗めのネイビーやチャコールグレーのスーツを選ぶ方が適切だと考えます。また、夏季の軽装期間にはポロシャツを取り入れることで、快適さと業務効率を両立することができます。


常識に囚われない姿勢の重要性

 上記のような工夫は、一見すると些細なことに思えるかもしれません。しかし、これらの小さな工夫を1%ずつ改善していくことで、複利のように積み重なり、最終的には大きな仕事の効率化やストレス軽減につながります。日々の業務の中でほんの少しの改善を繰り返すことが、長期的には驚くほどの成果を生むと思っています。

 公務の現場では上司の常識が職場の常識とされることが多く、時に思考停止に陥りがちです。しかし、全ての常識が最適解であるとは限りません。むしろ、自分の業務スタイルに合わせて適切な方法を取り入れ、日々の小さな工夫を重ねることが、結果的に職場全体の効率向上や業務改善につながる場合があります。

 要は、思考停止に陥ることなく、小さな改善を続けてほしいということに尽きます。


「逆張り」と「順張り」のバランスを取る

 常識に囚われずに仕事をする際には、周囲とのバランスもある程度必要かもしれません。全てにおいて「逆張り」する姿勢は、職場での孤立や摩擦を招く可能性も無きにしもあらずです。

 私の経験上、業務スタイルにおいては「8割が逆張り、2割が順張り」のバランスが理想的です。基本的な手順や規則を守りつつ、効率化や自己流の工夫を取り入れることで、無理なく周囲と調和を図ることができます。


まとめ: 自分なりのスタイルを確立すると良き

 決まりきったやり方に従うだけでは、仕事の幅が広がらず、モチベーションの低下を招く恐れもあります。

 重要なのは、「常識に従うべき部分」と「自分の工夫を取り入れる部分」を見極めることです。職場の雰囲気や規則を尊重しながら、自分なりのスタイルを模索し、小さな改善を積み重ねていくことで、より効率的で満足度の高い働き方が実現できるでしょう。

「常識を疑い、工夫する」という姿勢を持つこと。それこそが、今後の公務員に求められる新しい働き方の一つではないでしょうか。

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