【第1回】国税職員時代を振り返る – 入庁と基礎研修の春

私が国税職員になったのは、16年3か月前の春のことでした。国税専門官試験に最終合格し、卒論も提出し終えて、卒業旅行など最後のモラトリアム期間を満喫したあと、いよいよ社会人としての第一歩を踏み出すことになります。今回はその始まり、入庁から基礎研修を終えるまでの出来事を振り返ってみたいと思います。

九段会館での入庁式

東京国税局採用だった私は、入庁式を九段会館で迎えました。厳かな雰囲気の中、式は粛々と進行したものの、昼食会場で耳に入ってきたのは、まさかのエルヴィス・プレスリーの「Jailhouse Rock」。これから監獄(=国税の職場)に入る囚人への歓迎の意なのか、人事課の悪ふざけなのか?と、思わず苦笑いしたのを今でも覚えています。もちろん、公式にそんな意図があったわけではないでしょうが、新入職員の不安と緊張が入り混じる中では、こうした選曲ひとつにも過敏に反応してしまうものです。

入庁式に先立って行われたリハーサルでは、「君が代」の声が小さいという理由で何度も歌い直しを命じられる場面もありました。今思えば、あの頃はまだ少しばかり体育会系の香りが残っていたように感じます。令和の今はどうなのでしょうか。

和光の日々、税務大学校での基礎研修

4月から6月は、税務大学校和光校舎での「専門官基礎研修」に参加することになります。配属前に必要な基礎知識と心構えを身につける期間です。偶然にも、大学時代に同じゼミだった親友が同じ独身寮に入り、同じ班になったため、序盤の不安はかなり軽減されました。ちなみに彼は現在、局で係長3年目。今でもバリバリの現役です。

当時の私は、東村山寮から和光校舎まで通っていました。決して快適とは言い難い通学でしたが、今となっては懐かしい思い出です。研修では簿記と税法を一から学びましたが、正直かなり苦戦し、成績もあまり芳しくなかった記憶があります。ただ、専門官基礎研修での成績が、その後のキャリアに大きな影響を及ぼすわけではありません。多少成績が振るわなくても、心配する必要はありません。大丈夫です。

そんな中でも、私は意外なことに多くの同期と仲良くなることができました。基本的に陰キャ気質な私ですが、飲み会や旅行などには積極的に参加しました。税務の勉強とはまったく関係のない思い出ばかりですが、今振り返ると、職場に出てからの人間関係のベースは、この時期に築かれていたように思います。

同期たちの記憶

樹林公園で愛の告白を敢行した同期や、講義中に居眠りして突然学務担当に連れていかれた同期もいました。実は私も一度、連れていかれたことがあります。学務室で軽く注意され、反省文のようなものを書かされて終わりました。

こうした一つひとつの出来事は、当時は少し恥ずかしかったり、ちょっとした事件だったりしましたが、いま振り返ればどれも味のある思い出です。ちなみに、基礎研修中に撮影した写真を集めて作ったDVDムービーは、今でも手元に残っています。退職直前にそれを見返しながら、「あぁ、ここから自分の職業人生が始まったんだな」と、少しセンチメンタルな気分にもなりました。

初任地配属へ

税務大学校での研修が終わると、いよいよ初任地への配属です。私の配属先は、東京23区内の某税務署でした。詳細は次回の記事で触れたいと思いますが、「最初の1年の過ごし方」は、その後の国税人生を大きく左右するテーマでもあると感じています。

というわけで、このシリーズの第1回では、私の原点とも言える入庁と基礎研修の春について綴ってみました。書いているうちに思いのほか筆が進み、基礎研修だけで1本終わってしまった感もありますが、それもまた良しということで。

第2回に続きます!

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