先日、転居先の賃貸契約を済ませた帰り道、調布にある「深大寺(じんだいじ)」に立ち寄ることになりました。案内してくれたのは、私の妻です。地元では割と有名な観光地だそうで、正直に言えば「名前は聞いたことあるけど行ったことはない」という程度の認識でした。
東京に生まれ、東京で育ってきた私ですが、実は都内でもまだ訪れたことのない場所がたくさんあります。どこに何があるかはだいたい把握しているつもりでも、実際に足を運んでみると「これは知らなかった…」という景色や雰囲気に出会うことがあるのです。今回の深大寺も、まさにそんな場所でした。
そばと甘味と深大寺
深大寺といえば「深大寺そば」が有名とのことで、せっかくなのでお昼ご飯はそば屋さんに入ることに。お店の名前は「深大寺そば・甘味 多聞」。観光地価格かと思いきや、意外にも良心的な価格帯で、お店の方の接客も丁寧でした。
訪れたのは土曜日。お昼前にも関わらず、すでに数組が並んでおり、私たちは5分ほどで入店できましたが、妻曰く「休日は並ぶのが普通」とのこと。タイミングがよかったようです。
私は「多聞そば」という、名前を背負った看板メニューをいただきました。深大寺そばの特徴は、麺が少し太めで、手打ちらしい食感がしっかりしていること。そば粉の香りも強く、つゆとのバランスもよくて、あっという間に完食してしまいました。こういうとき、だいたい妻よりも早く食べ終わってしまうのがちょっとした課題です。もう少しゆっくり食べられる大人になりたいものです。

(※ ChatGPTで画像に変換した妻のイメージです)
深大寺の境内で、脳が混乱した
食後、いよいよ深大寺の境内へ。
初めて訪れたその場所は、思っていた以上に「東京離れ」した空間でした。木々の緑が目に優しく、空気もどこか澄んでいる気がします。都心の喧騒から少し離れただけで、こんなにゆったりとした時間が流れるのか、と驚きました。
境内の建物は伝統的で立派。歴史あるお寺の風格がありながら、敷地内には水路が流れ、木造の建物が連なる様は「リトル京都」とでも呼びたくなるような趣です。実際、私の脳内では「東京ってこんな場所だったっけ?」と、しばし現実感を失いました。
そこまではよかったのですが、さらに意外だったのは――訪れている人々の顔ぶれです。
お寺というと、年配の方が多く訪れるイメージを持っていたのですが、深大寺は違いました。境内を歩いていたのは、20代前後の女性の二人組が圧倒的多数。そしてその次に多かったのが、カップルです。
たしかに、写真を撮りたくなるような映えスポットは随所にありますし、そばや甘味処、雑貨屋、縁結びのお守りなど、若い女性が惹かれそうな要素がこれでもかというほど詰まっています。
ただ、伝統的な寺の佇まいの中で、夏コーデの女性たちが最新iphoneでポートレートを撮り合っている様子を見ると、なかなか脳の処理が追いつきません。時代というか文化の層というか、いろんな要素が重なり合って、私の脳みそはバグりました。
東京の中の「未踏地帯」
今回の深大寺訪問をきっかけに、私は改めて感じました。
東京って、やっぱり広い。
地元だからこそ、「行った気になっているだけで行ってない場所」が無数にあります。観光地ではなくても、ふとした住宅地の小道や、公園のベンチにすら、小さな発見があったりします。これからは、自分の中で「都内未訪問地」の実績解除をしていくことに決めました。
ゲームでいうところの「トロフィー集め」みたいなものでしょうか。あれを全部埋めたいわけではありませんが、行ったことのない駅、降りたことのないバス停、食べたことのない東京のごはん。そういうものを、少しずつ集めていく旅に出たいと思います。
大人の夏休み、開幕
私の社会人生活も、おおよそ3分の1が終わった頃だと自覚しています。そして今年、私は国家公務員という仕事を退職し、税理士として独立する予定です。
今はその合間の、大人の夏休み。
もちろん、やるべきことは山ほどあります。税理士登録に向けた準備、開業に関わる各種手続き、居住環境の整備、インフラの見直しなど。それでも、「今しかできないこと」もまた、山ほどあります。
自由な時間があると、人間どうしても「遊んでいいのか」「稼いでないのに」「家計への貢献は…」と、謎の罪悪感に襲われがちです。特に隣で妻がしっかり働いているのを見ると、余計にそう思ってしまうのですが、それでもこの数か月は、人生で数少ない貴重な自由期間と割り切って、思いきり過ごしたいと思います。
一人でのんびりしすぎて、自己肯定感が下がってしまいそうになったら、そのときは自分にこう言い聞かせようと思っています。
「そろそろ、働きたいでしょ?」
おそらく、7月から9月の間に、自分の中でそのスイッチが自然と入るタイミングが来るはずです。その日まで、心身ともにしっかりリフレッシュして、独立後の人生を迎える準備をしていきます。
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