「この年齢になって、まだスターウォーズを観ていないって、逆にすごくない?」
と、自分で自分にツッコミを入れつつ、私はいま、銀河の平和の秩序を守る者になり切っています。
退職後に自由な時間が増えるというのは、もちろん覚悟していました。けれど、実際にその「ありあまる時間」に身を置いてみると、想像以上に静かです。朝の通勤もない。期限に追われるメールもない。クーラーの効いた部屋でアイスコーヒーを飲みながら退職辞令が出るのを待っています。
そんな中で、「何か新しいことを始めてみよう」と思い立ちました。とはいえ、いきなりヴィパッサナー瞑想の10日間合宿コース(最近ちょっと興味ある)に参加するほどの勇気はないため、そこでまずは、自宅でできることを……と考え、以前から気になっていた「スターウォーズ」シリーズを観ることにしました。
スターウォーズに対する、密やかな劣等感
私には、いくつか「通っておくべきだったのに通っていない」作品へのコンプレックスがあります。例えば『ファイナルファンタジー10』。これは以前、ブログでも書きましたが、まわりの熱狂ぶりに比して、自分の知識があまりに空白だったことに、少し気後れしていたところがありました。
映画にも、同じ感情を抱いています。『シンゴジラ』『紅の豚』、あとはガンダムシリーズなどなど……タイトルは聞いたことがあるのに、観たことがないという作品はまだまだ山ほどあります。その中でも「スターウォーズ」は、最も頻繁に話題に出る作品のひとつ。しかも、妻とそのご両親が熱心なファンときては、「これはいつか履修せねば」と思わざるを得ません。
「チューバッカって誰?」からの出発
スターウォーズとの最初の出会いは、中学時代。といっても、映画館ではなく、金曜ロードショーか何かだった気がします。当時は『ファントム・メナス』が公開されたばかりだったようで、シリーズの再放送がテレビで流れていた記憶があります。
とはいえ、当時の私にとっては「登場人物が多い」「宇宙」「なんか光る棒で戦ってる」程度の印象しかありませんでした。キャラの名前も全く覚えていませんでした。唯一、記憶に残っているのは、同級生のあだ名が「チューバッカ」だったということだけです。
今になって観返してみて、「ああ、あの子がチューバッカって呼ばれてたの、なんとなくわかるな…」と妙な納得をしています。そう考えると、25年越しにようやく伏線が回収された気分です。
妻のおすすめで「時系列順」に鑑賞中
妻のすすめもあって、私は公開順ではなく「時系列順」で観ることにしました。つまり、エピソード1『ファントム・メナス』から始まり、アナキン・スカイウォーカーが少年時代を過ごすところからスタートしました。
現在はエピソード2『クローンの攻撃』まで観終えたところです。アナキンはすっかり青年になり、師であるオビ=ワンとの関係や、元老院のパドメとの禁断の恋など、徐々にダークサイドへのフラグが立ち始めています。
次はいよいよエピソード3『シスの復讐』。タイトルからして物騒ですし、アナキンの眉間のしわが気になってきたので、そろそろ暗黒面に足を踏み入れる予感がします。
チューバッカはまだ出てきませんが、もう少しで登場するようです。今からワクワクしています。思えば、退職していなければ、この時間的ゆとりの中で、こんなにも作品世界にどっぷりと浸かることはできなかったと思います。
観るほどに深まる、「なぜ今まで観なかったのか」という後悔
スターウォーズという作品は、単なるSF映画ではありません。親子の確執、政治的な陰謀、人間の弱さと希望。ひとつひとつのテーマが、年齢を重ねた今だからこそ胸に響くものがあります。若いころに観ていたら、きっと見落としていたであろうシーンに、思わず見入ってしまう自分がいます。
そしてもう一つ気づいたのは、こうした文化的な「教養」――と呼ぶには少し気恥ずかしいかもしれませんが――に触れることの価値です。作品に登場するセリフや設定を理解することで、過去に聞き流していた会話やネタの意味がスッと理解できるようになったりします。
時間は無限ではない。でも、使い方次第で価値は変わる
退職して、時間ができたことをどう捉えるかは人それぞれです。もちろん、ぼーっとするのも自由ですし、朝から晩まで筋トレしてもいい。しないけど。
私はいま、スターウォーズを通して、時間の価値を再確認しています。「今さら?」と思われるかもしれません。でも、この「今さら」こそが、人生を豊かにしてくれる一歩なのだと思います。ちょっと言い過ぎか。
スターウォーズの話は、まだまだ続きます。チューバッカが出てきたら、また続きを書くかもしれません。どうかそれまで。
May the Force be with you.
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