もっと褒めたほうがいい

 国税の職場といえば、体育会系の厳しい上下関係を想像する方も多いかもしれません。実際、いまだにイラチ気味な上司が部下を朝から晩まで怒鳴る姿も一部の現場では見られるようです。

 今回は、「褒めること」について、お話しします。


(矮小な)成功体験と褒められる喜び

 私が若手職員だったころ、上司からはドン詰めされるような毎日…ではなく、割と褒められることが多かったです。「お前、偉そうだな」と言われそうですが、これは紛れもない事実です。その結果、褒められた記憶は鮮明に残り、今の自分の成長にもつながっていると感じています。

 例えば、専科研修明けの事務年度のこと。本店へ状況説明を行う必要があり、ポンチ絵付きの資料を作成しました。当時は右も左もわからない中、隣の上席が詳細に目を通し、「こうしたらいいんじゃない?」とアドバイスをくれました。いまどきこんな上席もいないかもしれませんね。とても良い方でした。担当統括も「本店に出すなら恥ずかしくない文章を書こう」と一緒に加筆修正してくれた結果、かなり完成度の高い資料ができました。こんな担当統括も珍しいですね。(ちなみに今でも年賀状送り合っています。)

 その資料を局に送った際、担当者から「これ、あなたが作ったんですか?事実関係がわかりやすく、図も明確で素晴らしいですね」とお褒めの言葉をいただきました。

 実際には上司たちの手助けが大きかったのに、「はい、私が作成しました」と若さゆえの勢いで胸を張ってしまいました。10年以上前の話ですが、今でもこの出来事は鮮明に覚えています。


褒められることで得られるもの

 この経験が私に与えたものは得意分野を知るきっかけでした。「もしかしたら、行政文書を書くのが得意かもしれない」という自信が芽生え、それが次第に仕事の主軸となっていきました。

 ポイントなのは、自分の得意分野を知るきっかけは、他人の評価を通じて得られることが多いということです。自分では「特に難しいと思わないこと」や「普通だと思うこと」が、実は他の人にとっては難しく感じることもあります。こうしたズレを認識させてくれるのが、上司や同僚の褒め言葉かと思います。


今の幹部職員は部下を褒めているのか

 ここでふと思うのが、今の幹部職員たちは、部下を褒めることができているのかという点です。現場の状況はわかりませんが、良いところや成果があればどんどん褒めてほしいと切に願います。それは部下たちの成長を促すだけでなく、職員全体の職場における幸福度やモチベーションにも直結する気がしています。

 さらに重要なのは、褒められた経験が後のキャリアにおいても生きる可能性があるということです。国税の職場に限らず、得意分野を自覚できれば、転職や独立といった選択肢を選ぶ際にも武器となります。褒めることで、部下の将来の可能性を広げることができるのかなと思います。


「俺、文章書くの向いてるかも」の反省

 とはいえ、ここまで読んで「このブログ文章、あんまり上手くないじゃん。」と思われた方、申し訳ございません。当時の私は、「俺、文章書くの向いてるかも」とイキっていましたが、今こうして書いてみると謙虚に反省する日々です。

 それでも、当時褒められたことで得た自信は確実に自分の成長につながりました。だからこそ、私たちが褒める側に回るときには、その効果を信じて、惜しみなく良いところを伝えられるようになりたいものです。


まとめ

 良いところを見つけて褒めるという行為は、手間もほとんどかからないのに、意外と見過ごされがちな重要な概念な気がしています。

 「褒められすぎると図に乗るだけ」と感じる方もいるかもしれません。しかし、適切なタイミングで真摯な褒め言葉を贈ることは、相手の人生を良い方向に変える可能性があります。少なくとも、過去に褒められた経験が今の自分を形作る一因になっているのは、紛れもない事実だと感じています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました