公務員こそ、転職活動すべきだと思う理由

「転職」ではなく、「転職活動」こそが大事——私はそう考えています。

少し前まで、「公務員になったら定年まで安泰」という考え方が、多くの人にとっての正解でした。特に私が所属している国税という職場も、かつては安定の代名詞のような存在で、正直「一度入ったら一生そこで働くもの」と周囲からも自分の中でも思い込んでいた時期がありました。

けれど、時代は変わります。

トヨタの会長でさえ、「終身雇用はもう難しい」と明言している世の中です。これは単なる煽り文句ではなく、私たちが働く環境そのものが変わってきているというシグナルだと受け取っています。

転職活動はノーリスクで自信がつく

ここで強調しておきたいのは、「転職をしろ」という話ではなく、「転職活動をしてみてはどうか」という提案です。

転職活動自体にはリスクはありません。履歴書を書いて、エージェントと話をして、求人を見て、自分がどの程度の市場価値を持っているかを確かめてみる。これだけです。リスクはゼロ、むしろ自信がつく可能性すらあります。

私自身、アラフォーになってふと「自分って外から見たらどんな評価なんだろう」と思うことがありました。新卒からずっと国税専門官として働いてきて、署・局・庁で様々な経験も積んできました。けれど、それって民間企業から見たらどんな価値があるのか。案外、親方日の丸の威光に守られていただけで、自分自身の実力を過大評価してるんじゃないか——そんな不安もありました。

JACリクルートメントで面談してみた

そこで、思い切って「JACリクルートメント」に登録してみました。30代後半〜40代のミドルクラスの転職支援に強いエージェントだと聞いていたためです。

担当の方との面談では、以下のようなことを言われました。

  • 国税専門官として15年近く働いた経歴には一定のニーズがある
  • とはいえ、年齢が上がるほど選択肢は狭くなるため、行動は早いに越したことはない

なるほど、やはり若さは武器なのだと痛感しました。とはいえ、私のような公務員キャリアの人間でも、それなりに需要があるということを知れたのは大きな自信につながりました。

税理士法人の求人を紹介されてみた

私はその時点ではまだ税理士資格を取得していませんでした。財務諸表論のみ合格している状態です。年収は国税職場で約850万円ほど。

この状態で紹介された税理士法人の求人の年収は、おおむね650〜750万円くらいでした。

「えっ、下がるの?」と思う方もいるかもしれません。でも私は、この金額を見て逆に驚きました。

世間を知らないまま公務員として生きてきた、若くもない男性に、初年度からそれだけの給料を出してくれるというのは、むしろ「すごい」と感じたからです。公務員以外の世界にも、自分の価値を認めてくれる場所があるんだなと、嬉しい気持ちすらありました。

結局、転職はしなかった。でも……

最終的には、私は転職しませんでした。でも、この経験によって、自分の市場価値を把握できたことは大きな収穫です。

むしろそれ以降、自信をもって国税の仕事に取り組めるようになりました。

そして、将来的に独立して税理士としてやっていこうという構想も描き始めることができました。仮に独立がうまくいかなかったとしても、転職市場に戻れば選択肢はある——そう思えるだけで、精神的にすごく楽になります。

転職活動は「リスク管理」の一つ

終身雇用が崩壊しつつある今、「同じ場所に居続ける」ことがリスクになりうる時代です。生涯公務員として働くという選択肢が悪いわけではありません。しかし、その道を選ぶにしても、他の選択肢を知ったうえで選んだ方が、納得感はずっと高いはずです。

何より、自分がいかに「守られた環境」にいたかがよくわかります。親方日の丸の傘の下にいると、無自覚に「自分の実力」まで過大評価してしまう瞬間があるんです。その幻想を打ち砕くためにも、一度、転職市場という鏡の前に立ってみることを強くおすすめしたいと思います。

自分を知る旅

転職活動とは、自分の価値を測るための旅でもあると感じています。

私はその旅を経て、結局は転職しなかったわけですが、今後の人生にとって大きなヒントを得ました。これから独立していく上でも、この経験は大きな糧になります。

今の職場で一生を終えるにせよ、別の場所に移るにせよ、一度立ち止まって「自分は今、何者なのか?」を考えてみる。そんな時間があってもいいのではないでしょうか。

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