税を考える週間と納税表彰式

税金全般

「税を考える週間」とは

毎年11月11日から17日までの1週間は、「税を考える週間」と定められています。
これは、国税庁と全国の税務署が中心となって、国民一人ひとりに税の意義や役割について理解を深めてもらうことを目的とした行事です。昭和26年(1951年)に始まり、すでに70年以上の歴史があります。

この期間には、全国各地でさまざまな広報活動が行われます。代表的なものとして、小学生を対象とした「税に関する絵はがきコンクール」、中学生を対象とした「税に関する作文」、「税の標語」などがあります。どれも身近な視点から「税」を考えるきっかけを作る取り組みであり、地域社会の中で税の意識を醸成する貴重な機会となっています。

また、税務署の職員や関係団体が学校を訪問して租税教室を行ったり、商業施設などでパネル展示やパンフレット配布を実施したりと、地域ごとの特色を活かした工夫がなされています。
普段は「納税=義務」としての側面が強調されがちですが、この時期はむしろ「税によって支えられている社会」を感じてもらう期間と言えるでしょう。

納税表彰式の意義

この「税を考える週間」に合わせて、全国の税務署では「納税表彰式」も開催されます。
納税表彰式は、長年にわたり適正な申告・納税に努め、地域社会の納税道義の高揚に寄与した個人や法人を表彰する行事です。表彰されるのは納税貯蓄組合、法人会、青色申告会、間税会、税理士会など、税務行政の周辺で支援を続けてこられた方々が中心です。

式典では、国税庁長官表彰や東京国税局長表彰、税務署長表彰など、功績に応じた複数の表彰区分があり、関係団体の役員や地域代表が参列します。
華やかな式典というよりも、地域社会を支えて下さる方々に光を当てる場です。表彰を受けた方の多くは、地域の経済団体や事業者として長年にわたり、納税意識の向上や会員への啓発活動に尽力されています。

関係民間団体担当として

私が国税の職場に勤めていた最後の2年間は、いわゆる「関係民間団体担当」として、法人会との渉外業務を担当していました。
税務署の内部業務と違い、地域社会とのつながりを実感できる仕事であり、表彰対象者の推薦や選定、表彰式の準備などを進めておりました。

法人会の表彰候補者を決める際には、単に年数だけでなく、地域活動への貢献度や後進の育成、会員としての模範的な取組など、多面的に検討を行います。推薦文をまとめる過程では、その方のこれまでの歩みを知ることになり、「地域の納税文化はこうした方々に支えられているのだ」と改めて感じたものでした。

一番言いたいこと:内輪で盛り上がってはいけない

納税表彰式も、結局は役所が勝手に民間の人を表彰して、内輪で盛り上がっているだけではないか──そう思われる側面もあるかもしれません。実際、関係民間団体に所属する国税OBが表彰されていると、「また身内で持ち上げ合っているのでは」と感じられることもあるでしょう。

正直に言えば、私自身も組織の中でそうした空気を感じたことがあります。
「この人は順番だから」「推薦枠が埋まってよかった」といった安堵感で終わらせてしまうのは、やはり違う。身内での称賛を目的化してはいけません。

本来、表彰は税務行政に前向きに関わってくださる方々に感謝を示し、地域での模範として知ってもらう機会であるべきです。
だからこそ、時機を逃さず、本当に表彰に値する方をしっかり推薦する姿勢が求められます。「この人は絶対に表彰したい」と心から思える候補者を掘り起こす。その気概が関係民間団体担当には必要だと、今でも感じています。

納税表彰式が単なる形式的なイベントで終わらず、地域の納税文化を支える人々の努力を正当に称える場であり続けることを願っています。

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