外資系生命保険会社であるプルデンシャル生命保険において、社員や元社員100人超が、顧客約500人から総額約31億円もの金銭を不正に受け取っていた、という発表がありました。
この問題を受けて、同社の社長兼CEOも辞任する事態となっています。
しかし、明るみに出ているだけで関与者が100人超、というのはなかなか衝撃的です。
全社員のうち何%くらいに当たるのかは分かりませんが、「一部の不届き者」で片付けてよい数字ではないように感じます。
この報道を受けて、今後、他の保険会社でも似たような事案が相次いで表に出てくる可能性は十分あるのではないでしょうか。
この件は、単なる「一部社員の不祥事」として処理して終わる話ではなく、自分の資産を守るうえで、何を前提に考えるべきなのかを改めて考えさせられる出来事だと思います。
今回の問題が示した、対面営業の構造的リスク
報道によれば、不正行為の内容は、顧客からの金銭の詐取や、国内で認められていない金融商品の紹介など、多岐にわたっていました。
特に問題だと感じるのは、被害額や被害者数の大きさだけでなく、関与した人数が100人を超えていた点です。
これは、特定の個人の資質や倫理観の問題というよりも、
・強い成果主義
・高額な手数料構造
・顧客と営業担当者との情報格差
といった、対面営業そのものが抱えている構造的なリスクが、かなり露骨な形で表に出た事例だと思います。
金融機関の看板が大きいから、身なりがきちんとしているからといって、その提案が必ずしも顧客本位であるとは限りません。
むしろ、商品内容が複雑であればあるほど、説明する側とされる側の知識差が広がり、判断を誤る余地も大きくなってしまいます。
保険は保険、投資は投資、貯蓄は貯蓄
営業の現場でよく勧められるのが、いわゆる「貯蓄型保険」や「外貨建て保険」です。
これらは「保障」と「運用」を一体化した商品ですが、合理性という観点で見ると、疑問が残るケースも少なくありません。
本来、保険というのは、
「発生確率は低いが、起きた場合の損失が大きいリスク」
に備えるための仕組みです。
一方で、資産形成は、長期・分散・低コストを前提とした投資で行ったほうが、数学的にも整合的です。
この二つを混ぜてしまうと、
・手数料が見えにくくなる
・運用効率が下がる
・途中解約時の不利が大きくなる
といった問題が起こりやすくなります。
保険は保険、投資は投資、貯蓄は貯蓄。
それぞれを分けて考える、という当たり前の整理が大事だと思っています。
この整理を放棄してしまうと、それらをパッケージした人に、結果として高い手数料を支払う構造に巻き込まれてしまいます。
「善意の提案」ほど、冷静に距離を取る
もちろん、すべての営業担当者が悪意を持っているわけではないと思います。
営業マン自身が「これは本当に良い商品だ」と信じて提案しているケースも多いでしょう。
ただ、善意であっても、その提案が合理的かどうかは別の話です。
人間関係や感情が入り込むほど、冷静な判断は難しくなります。
その意味で、
・銀行窓口
・無料FP相談
・住宅購入時の付帯提案
といった、対面で勧められる金融商品については、一度立ち止まって考える姿勢が必要だと思います。
最近は、ネット証券やネット生保など、
「誰にも売り込まれずに、自分で選べる仕組み」
がかなり整ってきました。
多少手間がかかったとしても、この「距離」を取ること自体が、資産防衛という意味では大きな価値を持つように感じています。
事業の「守りの要」としての税理士
資産形成において、最終的に頼れるのは、自分自身の理解だと思っています。
今回のニュースが、「大手だから思考停止で任せて大丈夫」という感覚を問い直すきっかけになれば、それだけでも意味があるのではないでしょうか。
税理士は、企業や個人事業にとっての「守りの要」だと思っています。
守りの要であるからこそ、余計な提案をして「仕事をした感」を出すことよりも、
・何を勧めなかったか
・何をやめたほうがよいと伝えたか
といった部分で、価値を発揮していくべきだと感じています。
地味ではありますが、そういう積み重ねこそが、結果的に信頼につながっていくものだと思いたいです。


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