書籍『愛着障害』で育児の見え方が変わった

出産育児

育児本の中で名著を見つけたかもしれません。『愛着障害です。著者は精神科医の岡田尊司さん。序文の時点で、育児の焦点が一段深いところへ引き下げられる感覚がありました。

印象に残ったのは、「人が幸せに生きる土台として、安定した愛着が大切だ」という骨格です。愛着は、単に親子の仲が良い、という話ではなく、「人と絆を作る力」「安心して人を頼れる感覚」「自分を守るための距離感」の土台として扱われています。ここが安定していると、対人関係だけでなく、仕事の進め方やストレス耐性にも影響が出る、という見立てです。

正直、自分は育児本はもっと手順の話が中心だと思っていました。ところがこの本は、手順の前に「人間の土台」を置いてくる。ここで一気に引き込まれました。

愛着は「泣く→反応が返る」を積み上げて作られる

本の説明で特になるほどと思ったのは、赤ちゃんの行動を「刺激と反応の学習」として捉える部分です。赤ちゃんが泣く。親が反応して、おむつ、ミルク、抱っこなどで不快を減らす。これが繰り返されることで、「自分が何か出すと、世界は何か返してくれる」という感覚が育つ、という整理です。逆に、泣いても反応が返らないことが続くと、泣くのをやめる方向にいくことがあるそうです。

あまり言及が無かったのですが、本書全体の雰囲気や傾向として、愛着形成にはやはり『母親』の存在の方が大きいような書きぶりでした。かといって父親の存在が愛着形成に全く不必要かと言われればそうではないと思いますので、自分としても、わが子が泣くならば、おむつ交換をはじめ、適切な反応を返すようにしたいと思います。

「心の安全基地」があると、子どもは外に出ていける

本の中心には「心の安全基地」という考え方があります。両親という存在自体が、困ったときや怖い思いをした際に逃げ込める場所であること。この「心の安全基地」が確保されたことを子どもが確認すると、その子ども自身は安心して外の世界を探索しにいくそうです。

これは自分の幼少期を思い返しても心当たりがあります。

体感として「あの人のしんどさ」が説明できてしまう怖さもある

この本を読んで、過去に出会った「この人しんどいな」と感じた人たちの言動が、愛着の文脈において非常に納得感がありました。これがこの本の強さでもあり、扱い方を間違えると危うい部分でもあります。

「この人は幼少期に愛着が形成されたなかった人だ」と、人間関係で断定口調になるのは危険です。ただ、ラベル付けのためではなく、「なぜこうなるのか」を考えるための道具としては、とても有用だと思いました。

ちなみにこの本はルミエール府中で借りて衝撃を受け、その後Amazonで買いました。同時に、シリーズの別の本として『死に至る病』も手に取り、読み進めています。

以前、実業家の藤田晋氏の『渋谷ではたらく社長の告白』がビジネスのカテゴリで刺さったと書きましたが、出産・育児のカテゴリでは今のところ本書が一番「根っこ」を掴んでいる感覚があります。

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