どういう性格の人が国税職員に向いているのか

国税職員

最近、自分は国税職員として働くことが本当に向いていたのだろうか、ということをふと考えることがあります。
内定が決まった当時、大学の友人から「一瀬は優しい性格だから、納税者と対峙する仕事は向いていないんじゃないか」「国税は厳しいっぽいけど大丈夫なのか」と言われたこともありました。

自分で言うのも何ですが、確かに性格は大人しいほうだと思います。昔から口数が多いタイプではありませんし、話し上手とも言えません。組織の中で、ぐいぐい上司の懐に飛び込んで立ち回るタイプでもありませんでした。

では、そういう性格だと国税の調査官としてまったく使い物にならないのかというと、実際に働いてみて思うのは、必ずしもそうではなかったということです。

組織における「正解の性格」は一つではない

国税組織を見ていると、本当にさまざまなタイプの人がいます。
上司に積極的に話しかけて距離を縮めていく人もいれば、あまり多くを語らず、淡々と仕事を進める人もいます。

面白いのは、前者のような所作を好む幹部もいれば、逆にそうした距離感を極端に嫌う幹部もいるという点です。むしろ、大人しい上司と、大人しい部下が静かに信頼関係を築いている場面も珍しくありません。

結局のところ、「こういう性格でなければやっていけない」という単一の正解があるわけではなく、組織というのは案外、いろいろな性格の人間を内包しながら回っているものなのだと思います。ちなみに、税務署はともかく、国税局という組織となれば、調査で外に赴いている人間の方が少数派なので、多くの職員は内勤的な仕事をしているのが実態です。

国税調査官に必要なスキルは、粛々とやることとみた

私自身の人生観はどちらかというと明るく前向きで、「努力次第でどうとでもなる」と考える楽観的な面があります。その点は割り引いて読んでいただければと思いますが、国税調査官としてやっていくうえで必要なのは、少なくとも特別な才能や強烈な個性ではないと感じています。

真面目に仕事に取り組み、やるべきことを粛々とやる。
それだけで、十分に与えられた役割を果たしていると言える仕事だと思います。

準備調査一つとっても、決算書の数字を眺めて推移を追うだけでは、本当の意味での準備調査にはなりません。
それよりも大切なのは、「この業種で、この規模であれば、本来あるべき数字が載っていない」という違和感に気づくことな気がしています。

1年目調査で感じた違和感

調査官1年目のころ、いわゆるモノづくりの会社に調査へ行ったことがあります。
決算書を見ると、売上原価が一本で処理されており、粗利の計算上、在庫という概念がまったく存在していませんでした。

しかし、概況書を読む限り、その会社は明らかに製造業です。倉庫の賃料も支払っています。それなのに棚卸資産がゼロ。
「これはおかしいな」と思いながら調査に赴いたところ、話は非常にシンプルでした。
棚卸しをするという認識自体がなく、今までそのまま来てしまっていた、というだけの話だったのです。

結果として、棚卸計上を行うよう修正をお願いしましたが、この点は決算書を一通り見れば、準備調査の段階で十分に気づける内容でした。
特別な調査能力が必要だったわけではありません。

仮説を立てて臨むことの大切さ

調査というと、何か特殊なスキルや一子相伝の手法が必要だと思われがちですが、実際にはそうではありません。
業界の商慣習を事前に調べ、こういう数字の構造でこういう商流になっているはずだ、という仮説を立てて臨む。それだけで、会社の解像度は高くなる気がします。

仮説を持たずに、とりあえず社長の話を聞いてから考えようとすると、いつまで経っても全体像がつかめません。
一方で、仮説を持っていれば、話を聞きながら「ここは想定どおり」「ここは違うな」と頭の中で修正していくことができます。

調査とは、結局のところ、調べるべきことを調べ、そこに違和感があるかどうかを確認する作業の積み重ねなのだと思います。

税理士という仕事にも通じるかな

これは税理士の仕事にも通じる話だと感じています。
税法の知識が十分にあっても、どこかとっつきにくい人。
一方で、知識は完璧ではなくても、一度持ち帰れば正確な回答が返ってきて、話しやすい人。

もし二者択一で選ばれるとしたら、多くの場合、後者なのではないでしょうか。

国税職員に向いている性格とは、「強い」「厳しい」「押しが強い」人ではなく、真面目に考え、粛々と仕事をこなし続けられる人なのかもしれません。
あとは、遅刻せず毎朝ちゃんと定時にデスクにいることとか。これ、意外とできていない職員が多くてラストイヤーで署に勤務していたときは庁局とのギャップに驚きました。

っとまぁ途中から話が脇道に逸れまくりましたが、そのようなことを思いました。

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