「関与先名簿及び従業員名簿の提出のお願い」が接到しました

税理士独立

つい先日、税務署から「関与先名簿及び従業員名簿の提出のお願い」という文書が届きました。これは税理士事務所の顧問先(関与先)と職員の基本情報を一覧にして提出してほしいという依頼です。この依頼は毎年送付されるもので、税理士業務の適正な運営の確保が目的とされているようです。

当事務所は関与先が少なく、また、従業員もいないため早速e-Taxで提出するつもりですが、提出は法的義務なのか、提出しないと税務署の調査対象になるのかが気になりました。そこで提出の法的根拠や義務の有無、提出しない場合のリスク、提出方法、税理士会との関係について記しておきます。

提出の法的根拠と義務

関与先名簿・従業員名簿の提出依頼は、国税庁の任務に税理士業務の適正な運営の確保が含まれることに基づいています。税務署はこの任務の一環として各税理士事務所に名簿提出を求めており、背景には税理士法で禁止された名義貸し虚偽申告書の作成、無資格のニセ税理士による業務などの不正防止があります。

ただし、この名簿提出に法的な強制力はありません。あくまで税務当局からの行政上の協力依頼(行政指導)であり、提出しなくても罰則や処分の対象にはならず、行政手続法でも行政指導に従わない者を不利益に扱ってはならないと定められています。実際、「提出義務がないなら応じない」という税理士も存在するようです。

提出しない場合のリスクと税理士業務実態調査

名簿を提出しなかった場合でも法律上の罰則はありませんが、実務上はいくつか注意点があります。まず、税務署が不定期に実施する税理士業務実態調査(税理士事務所への実態ヒアリングや訪問調査)では、提出済みの名簿情報があると調査がスムーズに進みやすいとされています。

逆に長期間提出しない事務所は、税務署に業務実態を把握されていないぶん調査対象に選ばれやすくなる可能性があるようです。また、提出を放置していると税務署から再三の提出依頼や督促が届き、その対応に手間を取られる場合もあります。こうした理由から、「特にデメリットがなくても提出しておいた方が無難」と考えて毎年協力する税理士事務所が多いのが実情とのこと。

関与先名簿・従業員名簿の提出方法(郵送とe-Tax)

提出方法は郵送(書面)と電子提出(e-Tax)の2種類があります。通常、依頼文に名簿様式の用紙と返信用封筒が同封されており、必要事項を記入して返送します。従業員がいない場合でも従業員名簿の提出が必要(該当者なしの場合はその旨記載)なので注意が必要です。

近年はe-Taxで名簿を提出することも可能だそうです。

e-Taxの「申請・届出」メニューで「税理士法関係(使用人及び関与先の概況)」という手続を選び、作成した名簿(Excel等をPDF化)を添付し送信ができることとされています。なお、提出期限や対象期間は地域や税務署によって異なる場合があるため、届いた依頼文の案内に従って確認してください。

税理士会との関係:協力要請の背景

この名簿提出は税務署が税理士会に協力を要請して実施している側面もあります。税務署は税理士会との合同会議(支部定例会など)で毎年名簿提出の協力を呼びかけており、実際に今回の文書も税務署の課長補佐名で発出されています。

税理士会との渉外担当は総務課の課長補佐という署が多いかと思います。税理士会として会員に提出を強制することはできませんが、名義貸しや無資格業務の根絶といった業界全体の目的のため、会としても周知・協力に努めているのが現状です。

このように、「関与先名簿・従業員名簿の提出」は法律上の義務ではないものの、税務署と税理士会が一体となって税理士業界の適正運営のために継続している慣行と言えそうです。各税理士事務所はその法的位置づけや利点・リスクを踏まえ、協力するか慎重に判断することになります。依頼が届いた際には趣旨を理解した上で、適切に対応するのが無難かなと思います。

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