イールドギャップと、前払いによる割引について考える

考え

お金に関する話題として、よく耳にするものの一つに「イールドギャップを取りに行く」という考え方があります。

イールドギャップとは、簡単に言えば 借入金の金利と投資の利回りとの差額を利益にしようとする行為 のことです。
たとえば、

  • 銀行から年利1%で100万円を借りる
  • その100万円を全世界株式の投資信託などに投資する
  • その年の運用成績が年利7%だったとする

この場合、利回り7%から借入金利1%を差し引き、結果として 6%の利益が出たことになる、という理屈です。

一見すると合理的に思えるかもしれませんが、私は 借金してイールドギャップを取りに行くことは推奨していません。理由はいくつかあります。


利ざやは思っているほど安定的には取れない

事業投資のように、借入金利以上の確実性のあるキャッシュフローが見込める場合は別かもしれません。しかし、金融投資を借金で行う場合は、狙った通りの利ざやを取るのは難しいと感じています。

株価や投資信託の値動きはきれいな右肩上がりではなく、ランダムウォークです。短期的な値動きに振り回されながら、毎日利益と損失を計算しても、想像するほど安定的な差額は取れないのではないかと思います。

まして借金をして投資する場合は、マイナスになったときの心理的負担が非常に大きいものです。
元本割れのストレスに借金の返済義務が上乗せされるため、生活の質を下げる可能性すらあります。


借金は脳のリソースを意外と消費する

私は基本的に「無借金が好ましい」という考え方を持っているため、借金投資の経験があるわけではありません。
ただ、奨学金や住宅ローンなどを含め、負債があるだけで脳のリソースを消費するという話はよく耳にします。

  • 常に返済スケジュールを意識してしまう
  • 手元資金の減り方に敏感になる
  • 長期投資ならではの“値動きへの鈍感さ”を保てなくなる

こうした点を踏まえると、イールドギャップ狙いで借金をするのは、精神的コストに見合うほどのメリットが得られるとは言いにくいのではないかと思います。


前払いによる割引は、そもそも性質が違う

一方で、「前払いによる割引」という別の概念があります。
こちらは借金ではありませんし、割引率の分だけ確実に得をする仕組みなので、イールドギャップとは性質が異なります。

代表例としては、個人事業主の 国民年金の前納 が挙げられます。
また、サブスクで「年払いのほうが数か月分お得です」というパターンもよく見かけるものです。

個人的には、年払いの料金を12で割って“月額○○円”と表示する広告がマジで腹が立つのですが私だけでしょうか。
それはそれとして、前払いが合理的な場面は存在します。


前払いが合理的かを決めるポイントは「その支出が不可避かどうか」

前払い割引をどう判断するかについて、私は次のように捉えています。

その支払いが不可避であるかどうか

国民年金は、結局いつかは支払うものです。
そうであれば、手元資金に余裕があるときに前納してしまえば、割引分だけ確実に得をします。

  • どれくらい割引率に相当するか
  • 手元資金の流動性をどれだけ確保したいか

この二点を踏まえて判断すればよいと思いますが、私自身は国民年金については前納するタイプです。
先に支払ってしまうことで、余計なタスクが消える点も個人的には好んでいます。


サブスク系の年払いは、将来の利用頻度を見積もれるか

サブスク料金に関しても、年払いのほうが安いケースは多いです。
しかし、「このサービスを一年間確実に使うだろうか」という予測が必要になります。

  • 毎月使うサービス → 年払いが有利
  • 使わなくなるリスクがあるサービス → 月払いのほうが安全

私はサービスによって年払いと月払いを使い分けています。
Amazonの「定期おトク便」なども、私は基本的に利用していません。理由は、利用頻度が読みにくく、不要なストックが増えやすいためです。


借金を伴うイールドギャップは推奨せず、前払い割引は状況による

  • 借金してイールドギャップを狙う行為はリスクに対してリターンが小さい
  • 精神的コストも大きいため、個人的には推奨しない
  • 一方、前払いによる割引は確実に得をする性質を持つ
  • ただし「不可避の支出か」「利用継続が確実か」が判断の軸になる
  • 手元資金・流動性・ストレスなどを踏まえたうえで最適化するのが良い

結局、お金の使い方は合理性も大切ですが、「精神的に快適であるかどうか」も大きな要素だと思います。

借金による投資は、私は今後も選ばないと思いますが、前払い割引については上手に取り入れながら、生活のストレスを減らしていければ良いと考えています。

以上、あくまで個人的な考え方ですが、何かの参考になれば幸いです。

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