国家公務員の副業解禁は、かなり遅いが良い一歩だと思う

国税職員

2026年4月から、国家公務員が趣味や特技を生かした自営業を行えるよう、兼業規制が緩和されると報じられました。手芸品の販売や教室の開業、地域イベントの運営、高齢者の買い物代行など、営利と社会貢献の中間にあるような活動が主に想定されています。

参考記事:日本経済新聞「国家公務員、趣味生かした自営業可能に 26年4月から兼業規制を緩和」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA19AD90Z11C25A2000000/

私は元国家公務員(国税)で、現在は税理士として独立しています。その立場から率直に言えば、このニュースは「かなり遅いが、方向としては良い」と感じています。

公務員は「保証」を過剰に信じやすい

公務員として長く働いていると、どうしても「保証」を前提に物事を考える癖がつきます。毎月の給料、身分の安定、年金、退職金。これらが揃っている環境では、「稼ぐ力」を自分で作る必要性を感じにくくなります。

問題は、その保証が永遠に続く前提で人生設計をしてしまう点です。資産形成でも、制度が守ってくれるだろうという前提で判断し、結果的に選択肢を狭めてしまうケースを、国税時代に数多く見てきました。

「公務員なのだから余計なことはしない」「安定しているのだから挑戦する必要はない」。この思考自体が、一種のマインドブロックになっているように思います。

副業は「できない」のではなく「やろうとしていない」

正直に言えば、公務員でも副業は工夫次第で可能だったと思います。規則を無視しろという意味ではありません。規則を前提に、どこまでが許され、何が問題になるのかを考え、行間を読む姿勢があれば、選択肢はゼロではなかったはずです。

ただ、多くの場合、そこまで考えようとしません。「ダメだと聞いたから」「前例がないから」で思考が止まります。稼ぐこと自体に、どこか後ろめたさを感じている人も少なくありません。

今回の制度緩和は、その「考えなくていい理由」を一つ取り除いたという意味では大きいと思います。

自分自身も、副業はしていなかった

偉そうなことを書いていますが、私自身、現職時代に副業をしていたわけではありません。税理士資格は持っていましたが、「今は忙しい」「そのうち考えればいい」と言い訳をしていました。

当時の私は、心のどこかで「ここを辞めたら終わりだ」「他にやっていく術はない」と思っていたのだと思います。今振り返れば、完全に思い込みでしたが、組織の中にいると視野は驚くほど狭くなります。

もし当時、副業という形で少額でも自分の力で収入を得る経験をしていれば、独立への心理的なハードルはもっと低かったはずです。「最悪でもこれくらいは稼げる」という感覚は、精神的な余裕に直結します。

一度は「個人事業主」を体験した方がいいと思う

税理士でなくても、公務員であっても、一度は個人事業主として事業所得を得る経験をしてみた方がいいと私は思います。規模は問いませんし、売上が数万円でも構いません。

自分で考え、動き、責任を負い、収入を得る。このプロセスを知っているかどうかで、仕事やお金に対する見方は変わります。

公務員が向いている人は確かにいます。ただ、「自分は向いているのだ」と思い込むことで、他の可能性を最初から切り捨ててしまうのは、人生として少しもったいない気がします。

自己責任の生き方は、私にとっては楽しい

どこまでも自己責任で生きることが合わない人もいるでしょう。しかし、私自身は今の働き方をとても心地よく感じています。保証はありませんが、納得感は圧倒的に増えました。

今回の副業解禁は、いきなり独立しろという話ではありません。「こういう生き方もある」という選択肢を、現職の方が安全なうちに知るための制度だと捉えています。

まずは、稼いではいけないという思い込みを外すこと。保証を前提にした思考から、一度距離を置いてみること。それだけでも、見える景色は変わるはずです。

この制度が、現職の国家公務員の方にとって、自分の人生を考え直す小さなきっかけになれば良いと思います。


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