税理士登録を控えた今、事務所の場所をどうするかという問題に頭を悩ませています。 私が現在検討しているのは、都内にあるとある賃貸マンション(以下「A物件」とします)。3LDKで設備も整っており、夫婦2人で暮らすには申し分のない物件です。ところがこの物件、契約書にははっきりと「事務所利用不可」と書かれていました。
一方で、税理士登録にあたっては、税理士法に基づき「主たる事務所」を設け、その所在地を税理士会に届け出ることが義務付けられています。そして、その登録には賃貸借契約書のほかに、事務所設置に関する書類の提出が求められます。具体的には以下のいずれかです。
- 税理士事務所設置同意書(大家または管理組合からの同意)
- 税理士事務所に関する誓約書(同意が得られない場合)
私の場合、「A物件」はいわゆる住居専用マンションで、大家や管理会社から事務所設置の同意書を取得するのは現実的ではありませんでした。しかし、それで登録できないかといえば、必ずしもそうではないようです。
東京税理士会の案内によれば、同意書が取得できない場合でも、代わりに誓約書を提出すれば登録申請は可能です。内容は、「管理組合等の同意は得られていないが、今後問題が生じた場合は自ら責任をもって対処し、税理士会に迷惑をかけないことを誓約します」というもの。要するに、トラブルがあっても自分で処理しますから登録だけはお願いします、というスタンスです。
正直なところ、契約上は事務所不可の物件で事業を行うというのは一抹の不安もあります。実際、退去を迫られるリスクや、管理組合・近隣住民とのトラブルに発展する可能性もゼロではありません。
ただ、こうしたリスクを前提にしたうえで、誓約書をもって登録を進めている税理士の方も一定数いらっしゃるようです。私も調べる中で、同様に自宅マンションで開業された方の体験談や、誓約書を提出したうえで登録が完了したという実例を見つけることができました。
しかも、税理士会が求めているのはあくまで「業務を行える最低限の環境が整っているかどうか」であり、
- 顧客情報を守る配慮があること(家族に見られないように管理するなど)
- 必要な執務スペースが確保されていること(机や書類棚、パソコンなど)
- 所在地が明確であること(場合によっては写真の提出が必要) といった点が満たされていれば、派手な看板や応接スペースの有無までは問われません。
私自身も、顧客との面談は基本的に訪問対応とし、ポスト表記も個人名のみにする予定です。看板の設置もせず、静かに業務を行う方針です。こうした控えめなスタイルであれば、物件の規約上も表立った問題にはなりにくいと考えています。
もちろん、これはあくまで私の判断と調査に基づくものであり、万人に当てはまるものではありません。これから開業を目指す方、特に私のように国税職員から独立を予定している方にとっては、事務所の所在は非常に現実的な悩みの一つだと思います。
形式的には「不可」と書かれた物件でも、制度上は柔軟な運用がされていることを知ったのは大きな気づきでした。もちろん、リスクはゼロではありませんが、それをどう管理していくかという視点もまた、独立準備の一環なのかもしれません。
今後も、登録が無事に完了したらその過程も含めてブログでご報告できればと思います。
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