令和7年度の税理士試験の合格発表があり、今年度も合格率が公表されました。とくに財務諸表論は31.9%と、近年では見ないほど高い数字になっています。受験生の背景や準備状況には幅があるため、この数字だけでは一概に語れませんが、やはり発表のたびに、自分が挑んでいた頃の記憶がよみがえってきます。
そして改めて思うのは、願書を出した以上は必ず受験会場に向かうことが大事だということです。準備不足であれ、体調が万全でなかろうと、会場に向かえば「合格の可能性」というわずかな入口は残ります。向かわなければ、その瞬間に可能性はゼロになります。行動に踏み出すということが、どれほど重要かを痛感します。
昔の合格発表は「郵便の封筒で知る」時代だった
令和6年度からは受験番号が国税庁HPに掲載され、ネットで合否を確認できます。しかし、令和5年度まではHPに掲載されるのは合格率のみで、受験番号は載りませんでした。合否が分かるのは、郵便受けに入っている一通の封筒だけ。封筒を手に取る瞬間の緊張感は、体験した人にしか分からない独特のものである気がします。
令和5年度の簿記論の合格発表を迎えたときのことはいまでもよく覚えています。発表前日に飲み会がありましたが、結局まったく酔えず、三次会まで付き合ったにもかかわらず頭は冴えたままでした。帰宅後の寝つきも悪く、翌朝のことを考えるだけで落ち着かない時間が続いていたのを思い出します。
翌日は署長や幹部との出張がありましたが、移動中もどこか上の空でした。帰宅すると自宅のポストに封筒が届いており、そこから開封の儀が始まります。喜びも落胆もまずは自分で受け止めたいという思いが強かったため、部屋にこもって一人で封を切るというのがルーティンでした。
封を開け「令5合格」の文字が目に入った瞬間の感覚はいまでも鮮明です。その足で妻の部屋に向かい、合格を報告すると、妻も本当に喜んでくれました。令和3年度の財務諸表論の合格とあわせて、税理士への道が一段階前に進んだ実感がありました。
小さな5分の積み重ねが、いまの働き方に直結している
いま独立し、組織に縛られない働き方ができていることを考えると、あの日の受験、あの日の開封、そしてなにより、毎日の5分の積み重ねが大きく影響していると感じます。
朝の出勤前に5分だけ問題集を解く。
昼休みに理論を一段落だけ覚える。
帰宅後に数問だけ確認する。
そのひとつひとつは小さくとも、それが何百回、何千回と積み重なれば大きな山になります。結果として、その山が人生の方向を変えてくれます。挑戦とは、ある日突然の大きな決断ではなく、地道な5分の積み重ねの延長線上にあるのだと実感します。
「変化している実感」こそが幸福感を高める
最近読んでいる「The art of spending money」という本に、興味深い考え方が紹介されていました。
それは、人は自分の人生が変化していると実感できるときに幸福感を強く得るという点です。
良い変化でも、悪い変化でも、停滞よりは「動いている実感」が大事なのだという指摘です。税理士試験もまさしくその一つでした。合格した年度もあれば、うまくいかなかった年度もある。しかしそのすべてが、自分の人生を少しずつ動かし続けていたことは確かです。
独立したいまになって振り返ると、挑戦そのものが自分を形作り、いまの生き方をつくる土台になっていました。
次の挑戦をどう楽しむか
税理士試験を経て、独立し、自分で仕事をつくっていく生活が始まりました。あのときの試験勉強も、開封の瞬間も、現在の働き方の礎になっているように感じます。
次はどんな挑戦を設定しようか。
人生の流れが少しずつ変化していく感覚を味わいながら、その変化をおおらかに楽しんでいきたいと思います。


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