国家公務員の退職金っていくら?中堅職員が計算してみた

※ note.muで公開した記事と同じ内容です。

ご参考:国家公務員の退職金っていくら?中堅職員が計算してみた

国家公務員の退職金に関する情報ってあまり無いんですよね。人事院のHPには退職手当の計算例がいくつか乗っていますが、定年退職のケースだったりして、勤務10年~20年くらいの国家公務員のモデルケースがないなと思っていました。
っというわけで早速ではございますが、国税専門官の私の退職手当を計算してみましたので、その計算過程を公開しておきます。
なお、勤続年数は16年3か月10日の予定です。

退職手当の基本式

国家公務員の退職手当は、次のような構成になっています。

退職手当 = 基本額 + 調整額

「基本額」は、退職時の俸給月額に一定の支給割合をかけて算出し、「調整額」は在職中の職級などに応じて加算されるものです。


基本額の算出

基本の算式:退職時の俸給月額 × 退職理由別・勤続期間別支給割合

(1)退職時の俸給月額

私は「税務職俸給表」の税務5級19号俸に該当しており、退職時の俸給月額は382,400円です。これは人事院のHPから確認できます。

(2)支給割合の計算

退職手当の支給割合は、勤続年数と退職理由により決まります。

私の場合は、勤続16年3か月10日、自己都合退職です。1年未満の端数は切り捨てとなる(退手法第7条第6項)ため、16年で計算します。

まずは、退手法第3条第1項に基づく「基本支給割合」です。

  • 勤続10年までは1年につき100% → 10年 × 100% = 10.0
  • 勤続11〜15年は1年につき110% → 5年 × 110% = 5.5
  • 勤続16年は1年につき160% → 1年 × 160% = 1.6

これを合計すると、支給割合は17.1となります。

ここから自己都合退職の調整が入ります。勤続16年以上19年以下の場合は、支給割合に90%を掛けます(退手法第3条第2項第3号)。

17.1 × 90% = 15.39

さらに、退手法附則6により83.7%が掛けられます。

15.39 × 83.7% = 12.88143

この12.88を、俸給月額の382,400円に掛けることで、基本額が出ます。
ちなみに、12.88の計算過程をわざわざ示しましたが、国家公務員退職手当支給率早見表をみれば一発で済みます(暇なので条文から導き出しました。)。

382,400円 × 12.88143 =4,925,858.832


調整額の算出

調整額は、在職中の職級に応じた「調整月額」を、最大60か月分まで合算して算出します。

私の場合の該当期間は以下の通りです。

  • 税務5級:28か月(27か月と10日ですが、退手法6条の4によれば、「その者の基礎在職期間の末日の属する月までの各月」とあるため、ラスト10日も1か月カウント)
  • 税務4級:32か月

各職級の調整月額は、以下のとおりです(退手法第6条の4第1項各号など)。

  • 税務5級(区分8):32,500円
  • 税務4級(区分9):27,100円

それぞれの期間に掛けて合計します。

  • 税務5級:32,500円 × 28か月 = 910,000円
  • 税務4級:27,100円 × 32か月 = 867,200円

この合計が1,777,200円になります。

ただし、自己都合退職かつ勤続10年以上24年以下の場合、調整額は半額に減額されます(退手法第6条の4第4項第3号)。

よって、1,777,200円 × 50% = 888,600円 が最終的な調整額となります。


最終的な退職手当額

ここまでをまとめると、16年3か月と10日国家公務員として勤務していた私の退職手当は以下の通りとなりそうです。

  • 基本額:4,925,858.832
  • 調整額:888,600
  • 合計:5,814,458円(端数切り捨て)

計算してみて

約580万円――。16年勤め上げて、もらえる金額としては正直、少ねぇなあと思いつつ、たとえばこのお金を年利6〜7%で22年間(60歳到達時まで)運用した場合、ざっくりとした試算でも2,000万〜2,500万円程度に増える可能性があります。国家公務員としてこのまま定年まで勤め上げたとしても、退職金2,000万円もらえる保証があるかといえば微妙なところですし、その可能性に縋って生きる人生も私の中ではあまり取り得ません。

トシ食って気力体力も減退している将来の自分が2,000万円貰うことにどれだけの価値があるのか。
いまこのタイミングで親方日の丸からカネ吐き出させて(言い方)、それを自分の手で増やしていく方が合理的だと私は思ってしまいました。
年利6〜7%という数字が非現実的かというと、世界経済の成長率や長期インデックス投資の実績を見れば、そこまで突飛な期待ではないと考えています。

まぁ退職金を原資に、税理士業に捉われず、己にレバレッジを効かせて日々ご機嫌に生きていければと思っています。

さいごに

この試算が実際の支給額とぴったり一致するかは、7月10日を迎えてみないとわかりません。万が一ズレていたら、ごめんなさい。

なお、計算過程に誤りを見つけた方は、そっと教えていただけると助かります。

おわり。

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