無料で読める国税の教科書として、税大校本はかなり筋がいいと思う

国税職員

無料で読める国税関係のテキストとして、税大校本はかなり良いのではないかと思っています。大卒等の枠で国税の職場に入ると、入庁後しばらく、埼玉県和光市の税務大学校で研修を受けます。そこで使われるのが、いわゆる税大校本です。

各税法ごとにまとまっていて、分量はコンパクトとは言い切れないものの、平均すると200ページ前後で、教科書としては十分に絞られています。しかも、単に条文を並べるのではなく、制度の趣旨や考え方にも触れているので、最初に読む本としてかなり筋がいいです。

実務書はどうしても「結論」と「処理方法」が先に来ます。それはそれで必要ですが、基礎を固める段階では、なぜそのルールがあるのかが分かるほうが記憶に残ります。税大校本は、そのあたりのバランスが良いと感じます。

現職時代より、独立後のほうが価値が分かることがある

自分は2009年4月に東京国税局に採用され、当時も税大校本で勉強していたはずです。ただ、正直に言うと、その頃は良さを十分に分かっていなかったように思います。

理由は単純で、税務署に配属されると、仕事は税目ごとの系統に分かれるからです。個人課税なら所得税、法人課税なら法人税、資産課税なら相続税、徴収なら国税徴収法、という形で、日々触れる分野はかなり偏ります。交流で他の分野に行くことはあっても、基本的には自分の系統の中で経験を積んでいくことが多いです。

自分は法人課税部門が長かったので、所得税や相続税は、現場で深く触れる機会があまりありませんでした。所得税は確定申告期の応援や、自分の申告があるので最低限の感覚はありますが、それでも体系的に分かっているかと言われると怪しいところがあります。相続税にいたっては、入庁時の研修以来ほとんど触れておらず、後年にFP1級で拾った知識がパッチワーク的に入っている状態です。

独立すると、その継ぎはぎ感が気になります。そこで初心に返って、未経験に近い税法は税大校本から積み直すのがよさそうだ、と感じるようになりました。

特に国税通則法の「期間計算」は、表がかなり分かりやすい

税大校本の中でも、今でもよく見返したくなる箇所があります。国税通則法の「期間の計算」の説明です。特に、翌日から起算して1月を経過する日、というような表現を、具体例で整理している表はかなり分かりやすいです。

Gyazo

税法では、「何日以内」「何月を経過する日」「その翌日」といった表現が頻繁に出てきます。「経過する日」と「経過した日」の違いも、分かったつもりで曖昧になりやすいです。

届出書や申請書の提出期限でも、説明としては「○月を経過する日まで」と書いてあるだけで、では具体的にいつなのか、すぐに腹落ちしないことがあります。こういうとき、期間計算の表を一度見ておくと、かなりすっきりします。自分も、こういう基礎のところほど、実は実務で何度も使うのだと後から分かりました。

専門分化した後だからこそ、全体を見直す価値がある

国税の仕事は、専門性が高い反面、ずっと同じ税目を見ていると、自分の足場以外が少しずつ見えなくなります。現職中はそれでも仕事が回るのですが、独立するとそうはいきません。法人税中心でやってきた人間でも、所得税、相続税、国税通則法、国税徴収法の基本を一通り押さえておく必要があります。

自分は、実務経験がない分野をいきなり細かい実務書から読むより、まず税大校本で土台を作るほうが合っている気がしています。

無料で読める以上、持っておいて損はない

税大校本は公開されていて、PDFで無料で読めます。

税大講本|国税庁

これはかなりありがたいです。内容の正確さと体系性を考えると、無料テキストとしては相当優秀だと思います。

紙でざっと読むのもよいですし、検索できる形で手元に置いておくのも便利です。自分は、こういう資料は単に読むだけでなく、あとで引ける状態にしておくのが大事だと思っています。notebookLMのような道具に入れて、自分用の参照庫にしておくのも相性がよさそうです。

無料で読めて、しかも筋の良い教科書が公開されているのは、かなり恵まれた環境だと思います。税大校本は、その入口として十分に使える素材だと思います。

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