令和7年分の消費税の確定申告期限は明日、令和8年3月31日です。
直前にこんな話を書くのもどうかと思いますが、だからこそ最後の確認として読んでいただければと思います。
今回取り上げるのは、「令和5年10月1日からインボイス登録をして課税事業者になった個人事業主」の、令和7年における消費税の納税義務の判定です。
基準期間の課税売上高は、単純に「年間の売上合計」ではない
消費税の納税義務があるかどうかは、原則として基準期間(個人の場合は2年前)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで判定します。
令和7年の基準期間は令和5年です。
ここで注意が必要なのは、令和5年10月1日からインボイス登録をした人の場合、その年の中で「免税事業者だった期間」と「課税事業者だった期間」が混在しているという点です。
免税事業者だった1月から9月までは、そもそも消費税を預かっていません。このため売上金額がそのまま課税売上高になります。
一方、課税事業者になった10月から12月までは、売上に含まれる消費税を除いた本体価格が課税売上高です。
つまり、同じ「令和5年の売上」でも、期間によって課税売上高への算入の仕方が異なります。
整理するとこうなります。
- 1月1日〜9月30日の課税売上 → 税込金額(=金額そのまま)
- 10月1日〜12月31日の課税売上 → 税抜金額(=消費税を除いた本体価格)
この合計が、基準期間の課税売上高です。
会計ソフトを信用しすぎると落とし穴がある
実務で見落としやすいのが、会計ソフト上の処理です。
令和5年分の会計データが、1月から12月まですべて「課税売上」として処理されているケースがあります。会計ソフトの設定や入力の仕方によっては、免税事業者だった期間の売上も課税売上として記帳されてしまうことがあるためです。
この会計データをそのまま信用して「基準期間の課税売上高」を計算すると、本来の金額とずれます。
たとえば、通年で課税売上だったと判断すれば年間売上の全額を税抜に換算することになりますが、実際には1月から9月は免税ですから税込のまま算入しなければなりません。その結果、課税売上高が1,000万円を超えるか超えないかの結論が変わることがあります。
会計データを見て「通年で課税売上になっているから大丈夫だろう」と判断しないことが肝要だと思います。
判定を間違えるとどうなるか
基準期間の課税売上高の計算を間違えると、令和7年の納税義務の判定そのものがずれます。
加えて、2割特例(インボイス制度を機に課税事業者になった人が使える、納税額を売上の消費税の2割に抑える特例)の適用可否にも影響します。2割特例は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であることが要件の一つだからです。
既に消費税の確定申告を済ませている方で、もしこの点を見落としていた場合は、修正申告が必要になることがあります。消費税の修正申告だけでなく、それに伴って所得税の修正申告が必要になるケースや、延滞税が発生するケースもあり得ます。
期限直前ではありますが、令和5年10月からインボイス登録をした方は、基準期間の課税売上高の計算が正しいかどうか、もう一度確認していただければと思います。

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