【今月から】少額減価償却資産の特例が40万円未満に拡大――押さえておきたい注意点

所得税

令和8年度税制改正により、少額減価償却資産の特例の上限額が引き上げられました。これまで「1つあたり30万円未満」だったものが「40万円未満」に改められています。

対象となるのは、中小企業者や個人事業主です。ただし、常時使用する従業員数が400人を超える法人は対象外となります。

年間の合計枠は300万円まで。ここは改正前と変わっていません。上限額が40万円に上がったので合計枠も上がったのではと思いがちですが、300万円のままです。

適用期限は2029年3月31日まで延長される予定です。

「取得」だけでは足りない

この特例が適用されるのは、令和8年4月1日以後に取得し、かつ事業の用に供した場合です。まさに今月からということになります。

ここで注意したいのは、「取得」と「事業供用」は別の概念だという点です。

たとえば、4月決算の法人が4月末にパソコンの納品を受けたとします。ただ、4月末時点ではまだ段ボールに入ったままで、実際にセットアップして使い始めたのは5月以降だった。この場合、事業供用は5月になりますから、4月末が決算の事業年度では特例の適用を受けられません。

実際の税務調査でここまで細かい指摘がされるかというと、正直なところ、そこまでの指摘はあまり見かけません。個人的には、このあたりを突かれる調査というのは、売上や原価に大きな誤りが見つからなかった裏返しでもあるので、ある意味では調査を受ける側にとって悪い話ではないのかもしれないと感じます。

とはいえ、制度上は「事業供用」が要件ですので、決算期をまたぐタイミングでの資産取得には意識を向けておくに越したことはありません。

別表の添付漏れは致命的になりうる

もう1つ、特に税理士が気をつけなければならない点があります。法人がこの特例の適用を受ける場合、確定申告書に所定の別表を添付する必要があるということです。

この別表を付け忘れて申告してしまい、その後の税務調査で「添付がないので通常の法定耐用年数で減価償却してください」と指摘された場合、反論はかなり難しいと考えられます。

「費用の計上時期がずれるだけで、最終的には全額損金になるのだから大きな問題ではない」という見方もあるかもしれません。たしかに期間損益の問題ではあります。ただ、修正申告となれば加算税や延滞税が発生する可能性があり、単なる費用の先送りでは済まなくなります。

別表の添付は、税理士にとっては基本的な作業です。しかし基本的であるがゆえに、うっかり漏れが起きやすい部分でもあります。申告前のチェックリストに入れておくなど、仕組みで防ぐ工夫が大切です。

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