国税職員と人事異動の希望について

 国税職員として働く中で、毎年の人事異動は避けて通れない行事です。特に、異動先の内示発表は、特に若手職員にとってはドキドキ、またはお祈りメールを待つ就活生のようなソワソワした瞬間でもあります。

 今回は、人事異動希望について考えてみたいと思います。


1月に始まる身上申告書の作成

 まず、1月頃に幹部や直属の上司からのヒアリングがあります。これを受けて作成するのが身上申告書。人事希望を伝える重要な書類なのですが、正直、どう書けば良いかよくわからないことが多いです。

 例えば、「希望する部署・職場とその理由」を書けと言われるのですが、理由ってどこまで詳細に書くべきなのか、またはどの程度忖度するべきなのか…これについてのマニュアルなんてどこにもありません。同期と相談しようにも「身上申告書って見せ合って作るものじゃないよね?」という微妙な空気になるでしょう。

 そして、極めつけは「部署と職場、どちらを優先しますか?」的なラジオボタン。これはMECE(漏れなく重複なく)の精神がまるで感じられなくて、無性に気持ち悪さを覚えてしまいます。

 まだ「女と仕事、どっちが大事なの!?」的な問いのほうがマシだと思います。

 「人事課ちゃんにそんなこと言わせてごめんな。」と言って優しく抱きしめるのが正解かもしれません…

 


単身赴任の希望、「否」の理由は問われるけど…

 身上申告書では単身赴任の可否についても尋ねられます。「否」の場合はその理由を書かされるのですが、これが何とも腑に落ちない。「いやいや、希望とその程度を書かせろよ」としか思えません。


職場の実態がわからない中で希望を出すモヤモヤ

 若手職員にとって悩ましいのが、職場全体の機構や各部課室の仕事の分担がよくわからない中で異動希望を出すこと。希望を書いても、その部署が実際にどんな業務をしているのか、全体像が見えないため解像度の低いままです。

 例えば、庁ポータルのように各部課室の所掌事務一覧を局WANのトップページにでも載せてくれれば、もう少し具体的なイメージが湧くのに…と常日頃思ってます。これが無いと、「希望を書いたけど、あれ?自分は何を希望したんだっけ?」という状態になりそうです。


ヒアリングでゴリ押しされる幹部の昔話

 幹部や上司とのヒアリングもまた一苦労。その上司が過去に所属していた部署をゴリ押しされることも多く、「そこを希望するなら、こんなキャリアも考えられるよ。」とアドバイスされます。でも正直、若手職員にとっては「その部署で何をしたいのか」なんてまだわからないことが多いですよね。

 私は支店勤務時代に「留任希望」と書いたところ、「ゆくゆくは局に行きたいんだろ?じゃあ、今のうちに局の部署、ワシが居た部署を書いておけ」と言われ、結局その通りの異動に。もちろん建前上は「自分の希望」になっていますが、内心では「いやいや、それ上司の希望では…?」と感じざるを得ませんでした。


希望を明確にするためのコツ

 異動希望を明確にするために、10期上くらいの先輩に相談するのが良いムーブな気がしています。その先輩が庁や局も経験している場合、具体的なアドバイスをもらえることが多いです。幹部の昔話や理想論ではなく、ソルジャーとしての調査官・実査官のリアルな経験談を聞けるのが大きなメリットです。

 とはいえ、そういう相談しやすい先輩がいるかどうかは運次第。私の場合、庁や局での経験を活かし、支店で若手職員からの相談を受けることがあります。飲み会などのリラックスした場で話を聞くと、意外とポツポツと将来の希望を語ってくれることもあり、そんな瞬間は支店MJとしての幸せを感じます。何より、将来に向けての話ですからね。明るい。昔話おじさんは放置しましょう。


まとめ

 国税職員の人事異動希望には、明確な答えが無い分、モヤモヤがつきものです。それでも、幹部や上司の話を聞きつつ、リアルな先輩の経験談を参考にしながら、自分なりの将来の希望を描くことが大事かなと思いました。

 人事異動のシーズンがやってきたら、少し肩の力を抜いて、「希望はあくまで希望」と割り切るくらいの気持ちで挑んでみてください。そして希望どおりでなくても、何年かスパンで希望は見られている気がするので、将来、意外な形で良い場所に行けるかもしれません。


 職員の皆さんにおかれましては、人事の希望に悩んだ際は、ぜひこの記事を参考にしてください。あなたのキャリアが少しでも納得のいく形で進むよう、既に退職気味な私は草葉の陰から応援しています。

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