靭公園のバラ祭が思いのほか良かった件について

最近、ブログの更新が途絶えていました。読者の方の中には「ブログ、飽きたのかな」と思われた方も…いらっしゃらないかもしれませんが、仮にいたとしてもご安心ください。私は元気です。アクセス数は毎日1件あるかないかという静けさですが、それでも誰かが読んでくださっているのなら、私はその方に向けて書き続けたいと思っています。

実はここ数日、旅行に出かけておりました。妻と一緒に3泊4日で、淡路島を含む兵庫県と大阪を巡る旅です。なかでも3日目には大阪・夢洲で開催中の万博を訪れ、大きな刺激を受けました。万博については語りたいことが山ほどあるので、それはまた別の記事で。

今回は、最終日4日目にふらっと訪れた、とある公園について書いてみたいと思います。


旅行4日目。新大阪から東京へ帰る日の午前中です。特に予定もなく、朝食を終えたあとはどこかを軽くぶらつければ良いかという、ゆるい構えで一日をスタートさせました。

そのとき、ふと思い出したのです。旅行2日目、御堂筋線に乗って移動していたときのこと。向かいに座っていた大阪のおっちゃん2人が、なんとも楽しげに話をしていました。

「ウツボ公園、ええで。いまバラ咲いとるで。見に行かんとあかん。」

なんでも、靭公園(うつぼこうえん)という場所でバラ祭が開催されているとのこと。おっちゃん2人が、公園に花を観に行かなきゃとキャッキャしている様子に、なぜだか胸があたたかくなりました。

ふと、30年後の自分を思い浮かべました。私はあんなふうに、同性の友人と自然体で花を楽しむ余裕を持ち合わせているのだろうか。元気はあるか、そもそも友人はいるのか。そんなことをぼんやり考えながら、頭の片隅に「靭公園」というキーワードが残ったのです。

そして迎えた4日目の朝。宿泊していたホテルでスマホを取り出して検索してみると、なんと靭公園はホテルから徒歩10分ほどの場所にあることが判明しました。これは行くしかありません。


阿波座駅の近くにある靭公園は、オフィス街の中にありながら、どこか上品な住宅も点在し、静かで落ち着いた雰囲気が漂っていました。歩いていると、「都会のオアシス」という言葉がぴったりくるような空間が広がっています。

バラ園に近づくと、見事な花々が迎えてくれました。整然と手入れされた花壇に、色とりどりのバラ。朝のやわらかな日差しに照らされて、花びらがほんのり透けて見えました。

思えば、伊豆半島では椿園に立ち寄ったこともあります。あのときは「花に対して自分はあまり関心がないのでは…」と思っていたのに、気づけば大阪ではバラを眺めている。どうやらここ最近の私は、静かに花に惹かれているようです。

(参考記事:花の名前がわからない男が、ちょっとだけ成長した話

園内には、バラを熱心に撮影している人、スケッチしている人、ベンチでぼーっとしている人、犬と一緒にくつろいでいる人。みんながそれぞれのペースで過ごしていて、急かされることのない空気がとても心地よく感じられました。

ネットやガイドブックでは見かけなかったけれど、こういう場所にたどり着けたのは、あのおっちゃん2人のおかげです。やはり、旅においては「耳を澄ます」というのも重要なのかもしれません。


お昼ご飯は、靭公園からほど近い「美松」というお弁当屋さんでいただきました。目当ては名物の「ひょうたん弁当」。その名のとおり、瓢箪のかたちをしたお弁当箱に盛られた料理が特徴的で、見た目にも楽しく、味も文句なし。何より驚いたのは、その値段。観光地価格とはまったく無縁の、街の良心が詰まった価格帯でした。

ちなみに、この美松に関してはネットで見つけました。あのおっちゃんルートではありません。でも、これはこれでアリだと思っています。人づての情報も良いですが、ネット情報もまた然り。美味しいものは美味しい、それでいいのです。


旅の最終日、予定もなく歩いてたどり着いた靭公園のバラ祭。たまたま耳にした会話がきっかけで、訪れることができた場所です。人生もまた、こうして偶然が重なって、ふとしたタイミングで心が動かされるのかもしれません。

忙しさに流されがちな日常の中で、少しだけ立ち止まって、誰かの言葉に耳を傾けてみる。そして、それをきっかけに自分の五感を使って動いてみる。そうした瞬間が、旅を豊かにしてくれるのだと改めて感じました。

また大阪に来たら、あのバラたちに会いに行こうと思います。今度は誰かに、自分が「ウツボ公園、ええで」と話す側になるかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました