令和8年4月24日、国税庁から「通勤手当の非課税限度額の改正に関するQ&A」が公表されました。
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2026tsukin/pdf/01.pdf
令和8年度税制改正で、自動車などを使って通勤する人の通勤手当について、駐車場代を一定の範囲で非課税扱いにできるようになったことを受けたものです。
今回のQ&Aは全部で10問ありますが、このうちQ2-1からQ2-4までが「どんな駐車場なら非課税の対象になるのか」を扱っています。現場で実務を動かすときに最初につまずくのはこの入口の部分ですので、ここを丁寧に読んでみたいと思います。
そもそも何が変わったのか
改正の内容を簡単に整理しておきます。
これまで、マイカー通勤の人に支給する通勤手当の非課税枠は、片道の通勤距離の区分に応じた金額だけでした。たとえば片道45km以上55km未満であれば月32,300円、といった具合です。駐車場代を別途支給しても、それは原則として給与課税の対象でした。
令和8年4月1日以後に支払われる通勤手当からは、この距離区分ごとの非課税枠に加えて、「一定の要件を満たす駐車場等」の料金相当額(上限5,000円)を上乗せできるようになります。片道65km以上の区分の金額も引き上げられていますが、実務でより影響が大きいのは駐車場代の上乗せのほうだと感じます。
「一定の要件を満たす駐車場等」とは
Q2-1が、対象となる駐車場の範囲を定めています。
非課税の対象となるのは、通勤のために使う車両を停めておくための施設のうち、次のいずれかの周辺にあるものです。ひとつは、勤務する場所の周辺。もうひとつは、通勤で利用する駅や停留所、その他の施設(フェリー乗り場や空港など)の周辺です。
つまり、「会社の近く」か「通勤で使う駅などの近く」の駐車場に限られます。
駐輪場も対象になる
Q2-2では、自転車やバイクの駐輪場も対象になるかが示されています。答えは、含まれる、です。
「駐車場等」という言い方からは車だけを思い浮かべがちですが、自転車・バイクの駐輪場も同じ扱いです。駅前の駐輪場を月極で契約して電車通勤している人も対象になり得ます。郊外の駅を利用している従業員が多い会社では、実務上、車より駐輪場のほうが論点になるかもしれません。
複数の駐車場を使っているとき
Q2-3は、駐車場を複数利用しているケースです。
たとえば、自宅の最寄り駅前の駐輪場に自転車を停めて電車に乗り、降車駅の近くの駐輪場にもう1台の自転車を停めて会社まで行く、といった通勤スタイルが考えられます。このとき、両方の駐輪場がQ2-1の要件を満たしていれば、それぞれの料金の合計額(上限5,000円)が非課税の対象になります。
合計で5,000円までという上限は変わりません。1つにつき5,000円ではない点は、読み落とさないようにしたいところです。
自宅付近の駐車場は対象外
Q2-4は、実務上とても大事な論点です。自宅付近の駐車場代は、非課税の対象になりません。
Q2-1で定められた「勤務する場所の周辺」「利用する駅等の周辺」のいずれにも、自宅付近は含まれません。ですから、自宅にアパートの駐車場がなく、近所の月極駐車場を借りて通勤用の車を停めている、というケースでは、この駐車場代は非課税の対象外になります。
ここは実務で迷いが生じやすい部分だと感じました。「通勤のために借りている駐車場」という意識で支給してしまうと、課税漏れになりかねません。改正の趣旨は、あくまで通勤経路の「先」にある駐車場の負担を救済するもので、通勤の「起点」側は対象外、と整理しておくのが分かりやすいと思います。
実務で確認しておきたいこと
ここまでを踏まえると、改正後の実務では、従業員ごとに次の点を押さえておく必要があります。
一つ目は、駐車場の場所です。勤務先の近くか、利用する駅等の近くか、自宅の近くか。地図で確認しておくのが無難です。二つ目は、料金の確認方法です。Q4-1では、契約書や領収書などの提示を受ける法令上の義務はないとされていますが、「1か月当たりの駐車場等の料金相当額」を算出する以上、金額が分かる書類で確認する必要はあるとされています。
改正の適用は、令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当からです。4月支給の給与計算から影響してきますので、給与規程や通勤手当の申請書の見直しは早めに進めておきたいところです。

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