国民年金基金連合会は2026年4月30日、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者が支払う手数料を、現在の1回105円から月120円に引き上げると発表しました。2027年1月の納入分から適用されます。
消費税増税に伴う見直しを除けば、手数料の引き上げは15年ぶりです。
毎月1回拠出している方であれば、引き上げ後は積立額が年1,440円減る計算になります。年1回などまとめて拠出している場合も、見直し後は拠出期間に応じた形に変わり、12カ月分を年1回拠出していれば、1度に1,440円を支払うことになります。年単位で拠出している方は、2025年12月末時点でおよそ4万人いるとのことです。
なぜ手数料を引き上げるのか
連合会によれば、手数料収入はiDeCoの運営費に充てられています。加入者資格の確認、拠出限度額の管理、口座振替による拠出金の納付など、事務作業は多岐にわたります。
近年は運営を借入金に頼る状況が続いてきました。制度改正に伴うシステム更新や手続きの電子化などに費用がかかっていたためです。借入金は2026年度末に72億円となる見通しで、手数料の引き上げ分はその返済に充てられます。
なお、加入時や企業型確定拠出年金(DC)からの移管時にかかる2,829円の手数料は、今回は据え置きとなっています。
証券会社ごとの手数料も別にかかっている
ここで一つ押さえておきたいのは、加入者が支払う手数料はこれだけではないということです。
iDeCoでは、運営管理機関である証券会社や銀行などにも、別途、口座管理手数料が発生する場合があります。金融機関によっては運営管理手数料を無料にしているところもありますが、信託銀行に支払う事務委託手数料などは、どの金融機関を選んでも発生します。
私自身は手数料の安さからSBI証券を利用しています(信託銀行の管理手数料:月額66円)。
iDeCoは公務員にも対象が広がった2017年1月の初月から、当時の上限額で満額拠出してきました。今回引き上げられる15円は、加入者が負担している手数料の一部に過ぎません。金融機関選びによっては、毎月の手数料負担が思った以上に大きくなることもあります。
15円という金額を侮れない理由
「たかが15円」と感じる方も多いかもしれません。ただ、iDeCoは長期運用を前提にした制度です。
手数料が増えれば、その分だけ拠出額が減ります。拠出額が減れば、運用に回せる元本が減ります。そして、運用益には複利が効きます。
たとえば毎月の手数料が15円増えると、年間で180円。これが30年間続けば、単純計算で5,400円分の元本が削られることになります。さらに、その元本が運用されて生み出すはずだった利益も失われます。仮に年3%で運用できていたとすれば、削られた元本が生むはずだった金額はさらに膨らみます。
ちなみに私自身は、独立して個人事業主になったことを機に、月額拠出を5,000円に減らしました。公務員を退職したらiDeCoはどうなるのかについては別記事で書いていますので、よろしければ以下をご覧ください。

12月の制度改正と合わせて見直す
iDeCoは2026年12月にも制度改正を控えています。企業年金のない会社員であれば、掛け金の上限が月2万3,000円から6万2,000円に引き上げられます。加入できる年齢も65歳未満から70歳未満に拡大されます。
加入申請や掛け金の変更手続きが増えることが予想されるため、連合会としても事務体制の整備が必要になっているのでしょう。
掛け金の上限が大きく上がることで、iDeCoの活用余地は広がります。一方で、手数料の負担も長期で見れば無視できません。今回の手数料引き上げを機に、ご自身が利用している金融機関の手数料水準を一度確認してみてもよいかもしれません。

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