2026年10月、SBI証券が、こどもNISA専用の投資信託を紹介しました。名前は「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」。愛称は「ゼロカン」です。
最大の特徴は、信託報酬がゼロであることです。信託報酬とは、投資信託を持っている間、毎年差し引かれる手数料のようなものです。
こどもNISAは、2027年に始まる子ども名義のNISAです。年60万円、累計600万円まで積み立てられます。

インデックス投資は市場の平均を買う手法
ゼロカンの話の前に、インデックス投資について整理します。
インデックスとは、株式市場全体の動きを数字にした指標のことです。日経平均株価やS&P500がその代表です。インデックス投資は、この指標と同じ値動きを目指す投資信託を買う方法です。
運用する人が銘柄を選ぶ必要がないため、一般にコストが安く抑えられます。長く持つほど手数料の差は積み重なります。そのため、長期の積立ではコストの低さが重視されてきました。
オルカンは世界中の株を1本で持てる
インデックス投資で特に人気なのが「オルカン」です。正式名称は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」です。
日本を含む先進国と新興国の株式に、1本でまとめて投資できます。信託報酬は年0.05775%です。100万円を持っていても、年に578円ほどです。

弱点もあります。世界全体に分けて投資するため、特定の国が大きく伸びても、その恩恵は薄まります。たとえば日本株の組入比率は1割に満たないとされています。リスクを抑える代わりに、一部の国の伸びを取りにいかない設計です。
ゼロカンは何が違うのか
ゼロカンとオルカンは、同じ指数に連動します。中身はほぼ同じなので、値動きにも大きな差は出ないと考えられます。
違いは3つです。1つ目は、信託報酬がゼロであること。2つ目は、こどもNISAでしか買えないこと。3つ目は、積立でしか買えないことです。
子どもが18歳になると、こどもNISAは大人のNISAのつみたて投資枠に移ります。ゼロカンはそのまま持ち続けられ、信託報酬もゼロのままです。ただし、新たに買い足すことはできなくなります。
注意したいのは、信託報酬ゼロは「コストゼロ」ではないことです。監査費用や、株を売買するときの手数料などは別にかかります。こうした「隠れコスト」と呼ばれているものは、1年運用して報告書が出るまで正確には分かりません。新しい投資信託は、実績がそろうまで1〜2年様子を見るのがよいとされています。
差は年に数千円、増えるのは「持ち物」
では、オルカンとの差はどれくらいでしょうか。
こどもNISAの上限600万円を全部オルカンで持ったとします。信託報酬は年に約3,500円です。資産が増えれば差も広がりますが、それでも大きな金額とはいいにくいと思います。
一方で、見落としやすい点があります。大人のNISAの総枠は1,800万円です。こどもNISAの600万円が移ると、残りは1,200万円になります。子どもが将来この枠を埋めるとき、ゼロカンは買えません。別の投資信託を買うことになります。
同じ指数の投資信託を2本持っても、分散の効果は増えません。増えるのは、管理する対象の数だけです。18歳以降は、子ども自身がこの口座を見ていくことになります。中身が同じなのに名前が2つ並んでいる状態は、少し説明が要ります。
私自身、子どものこどもNISAではゼロカンを選ぶかもしれません。ただ、オルカンでも大差はないと感じていて、まだ迷っています。
本数が増えても気にならず、コストは1円でも削りたい人には、ゼロカンは合理的な選択です。持ち物はできるだけ少なく、単純にしておきたい人には、大人になってもそのまま買い続けられるオルカンなどが合います。
どちらも同じ指数に連動するので、多くの場合、選び間違えて大きく損をする話ではありません。それより先に考えるべきは、こどもNISAを使うかどうかです。12歳になるまでは原則として引き出せません。家計の中でそのお金を寝かせておけるかどうかが、本来の判断の出発点だと思います。
