【不祥事】大阪国税局職員が「警察を名乗る人物」に納税者情報をLINE送信

国税職員

2026年4月13日、大阪国税局の20代職員が、警察を名乗る何者かにそそのかされ、調査中の納税者情報をLINEで送信してしまったと発表されました。漏えい件数は個人情報179件、法人情報80件の合計259件です。

【速報】大阪国税局の職員 警察を名乗る何者かの指示受けLINEで納税者情報を漏えい「動揺して…身の潔白を証明するため言いなりになってしまった」(MBSニュース) - Yahoo!ニュース
大阪国税局は、20代の職員が警察を名乗る何者かに調査中の納税者情報を漏えいさせてしまったと発表し、おわびしました。4月13日に、職員の携帯電話に千葉県警を名乗る何者かから、「捜査の過程で(職員に

国税職員による情報漏えいというだけでも重い話ですが、内容を読むとそれだけでは済まない論点が含まれていると感じました。

何が起きたのか

報道によれば、職員の携帯電話に「千葉県警」を名乗る人物から電話があり、「捜査の過程で嫌疑がかかっている」と告げられたとのことです。やりとりの中で職業を聞かれ「税務署」と答えたところ、業務に関係する書類を送るよう求められ、LINEで送ってしまった。電話をつないだまま他の職員に相談して、ようやく詐欺だと気づいたという流れです。

職員本人は、いきなりフルネームを言われたこと、画面越しに警察手帳を見せられたことで信用してしまい、「身の潔白を証明するため言いなりになってしまった」と話しているとのことです。

いわゆる「警察官かたり」の典型的な手口である

この手口自体は、一般市民を標的としたものとして以前から繰り返し報じられているものです。フルネームを呼ぶ、嫌疑があると揺さぶる、画面越しに警察手帳を見せる、電話を切らせない。すべて典型例といってよい流れです。

ですので、「なぜ騙されたのか」という個人攻撃に振っても、あまり建設的な議論にはならないように思います。冷静なときに見れば不自然でも、自分が嫌疑をかけられていると言われた瞬間に冷静でいられる人は多くありません。

ただ、それを差し引いても、これは一般市民が引っかかった事案ではありません。日々、納税者の機微な情報に接し、法令と守秘義務を職務の根幹とする国税職員が、典型的な手口で259件の情報をLINEで送ってしまった、という事実は重く受け止めざるを得ません。在職中に繰り返し受けてきたはずの研修内容を踏まえると、職員一人ひとりに求められる感度がどこまで保たれているのか、率直に申し上げて、考え込んでしまう出来事でした。

風当たりは強くなるだろう

この件で心配なのは、報道を見た方々の国税組織全体に対する目です。

実際には、ほとんどの国税職員は、地道に、そして真面目に職務に当たっています。私が在職していた頃も、周囲の同僚は概ねそうした方々でした。しかし一件の不祥事は、その大多数の方々の日々の積み重ねよりも強い印象を残してしまうものです。今回の件をきっかけに、調査先で嫌味を言われたり、電話口で厳しい言葉を浴びたりする職員が出てくることは、おそらく避けられないだろうと思います。当事者ではない真面目な職員ほど、肩身の狭い思いをすることになるのかもしれません。

組織を離れた身として、この点は気の毒に感じます。

他山の石としない

国税の職場を離れたからといって、これを他人事として読み流すわけにはいかないと感じました。私自身も、日々お客様の申告書、決算書、通帳の写しなど、機微な情報を扱っています。

加えて、将来、事務所で人を採用する立場になったときのことも考えました。税理士事務所は、規模の大小を問わず、納税者情報の塊を扱う職場です。雇った人が同種の被害に遭ったとき、その情報が外に出てしまうリスクは、国税組織と本質的に変わりません。採用時の身元確認や教育の話だけでなく、日常的な情報の取り扱いルール、外部送信の制限、相談しやすい雰囲気づくりまで含めて、今のうちから考えておくべきことだと思いました。

「自分は大丈夫」という前提を一度疑ってみる、よい機会だったように感じます。

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