FP1級の学科試験免除コースが新設され、既取得者として思うこと

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きんざい(金融財政事情研究会)が、2026年度からFP1級の学科試験を免除する新しいコースを開講します。「FP養成コース(1級通信+スクーリング)」という名称です。

特徴を整理すると、次のようになります。受講料は税込330,000円。期間は約5か月間。通信講座と、オンライン・対面を組み合わせたスクーリング全8回(合計52時間)で構成されます。修了するには、習得度テスト3回それぞれで60点以上、スクーリング42時間以上の出席、最終日の修了試験で60%以上の得点、という3つの要件を満たす必要があります。

ここで誤解されやすい点があります。このコースは法人または個人事業主からの申し込み限定で、個人としての受講はできません。そして免除されるのはあくまで学科試験のみで、実技試験は別途受験する必要があります。

従来からあった免除ルートとの違い

実は、お金と時間をかけて学科試験を免除する制度自体は新しいものではありません。

従来から、きんざいには「FP養成コース」という別の免除制度がありました。こちらは受講料が約100万円、平日朝から夕方まで2か月間ずっと拘束されるという、金融機関などが社員を派遣する形でしか現実的に利用できないコースです。

ほかにも、CFP(民間資格)の試験に合格すれば学科試験は免除されます。こちらも一定の学習量が必要なルートです。

今回新設されたコースは、330,000円という金額は決して安くないにせよ、従来100万円かかっていたものが3分の1程度になり、平日終日拘束という縛りもなくなりました。法人限定とはいえ、利用のハードルは確実に下がっています。

既に取得した立場としての正直な感想

ここから少し主観を書きます。

私はFP1級の学科試験を経て1級技能士を取得しました。学科試験の合格率は概ね10%前後で推移しており、必要な学習時間は500時間とも言われます。それを乗り越えたという感覚は、それなりに自分の中で意味のあるものでした。

そこに、5か月間のコースを修了すれば学科試験そのものを受けなくてよい、というルートが加わる。率直に言えば、少し残念な気持ちはあります。資格ビジネスの色合いが強くなったように見えますし、学科試験を突破したという経験の希少性が、相対的に薄くなる面は否めません。

ただ、これは制度の良し悪しというより、自分の中の感情の整理の問題だとも思っています。

それでも資格は入り口に過ぎない

資格はゴールではなく入り口です。

FP1級を持っているから仕事が来るわけではありません。学科試験を自力で突破した人と、コース修了で免除された人を、依頼者がわざわざ区別することも、多くの場合ないはずです。最終的にお客様が見ているのは、資格そのものよりも、その人が何をどこまでやってくれるかという中身です。

これは私自身が独立して仕事をする中で、何度も感じてきたことでもあります。資格はあくまで名乗ることを許される肩書きであって、その先で何を提供できるか、どう生計を立てていくかは、また別の話です。

制度を批判するより自分のやることを考える

新しいコースができたからといって、既に資格を持っている人の知識や経験が消えるわけではありません。学科試験の難度を改めて評価し直すのは、利用者であり市場です。

免除ルートが増えたことに対して、感情的に批判する声がSNSでは目立ちます。気持ちは分かります。ただ、制度を嘆いても自分の状況は変わりません。資格を取った後に何を積み上げるか、そのほうが、はるかに自分の今後を左右します。

学科試験を経て取った価値が陳腐化したと感じるのなら、その悔しさを次の行動に向けるしかないのだろうと思います。

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