子が20歳~就職までの間に親が子のiDeCoを満額拠出することを思いついたけど

社会保険

まだ遠い未来の話ですが、2026年現在0歳児のうちの子どもが20歳になったとき、つまり2046年ごろに税や社会保険の観点から親として何をしてあげられるかをつい考えてしまいます。

そのとき子どもは、自分で年金保険料を払う立場(国民年金の第1号被保険者)になっているかもしれません。大学生であったり等の場合です。そこで、子どもが就職するまでの間のiDeCoを親が満額を拠出してあげるのはどうかと考えました。

第1号被保険者の拠出限度額は、現在は月6万8,000円です。2026年12月分の掛金から月7万5,000円に上がることが、すでに決まっています。年額にすると改正後は90万円です。2027年から始まる「こどもNISA」とも拠出期間は被らず、また、いずれも贈与税が非課税となる年110万円の枠に収まります。親が資金を渡し、子どもが拠出する形をとれば、贈与税の面で大きな問題は生じにくいといえます。

節税効果は親ではなく子どもに出る

ここで一度立ち止まりました。これは節税策としては、やや筋が悪いのではないか、と思ったからです。

iDeCoの掛金は、加入者本人の所得から差し引かれます(所得控除)。親が資金を出しても、控除を受けるのは子ども本人です。親の税金は減りません。

iDeCoの掛金を自分以外が払うと控除できない――社会保険料控除との違いに注意
先に結論:妻名義のiDeCoを夫が払っても、夫の控除にはならない確定申告の時期になると、「配偶者のiDeCoの掛金を自分が払っている。自分の控除にできるか」という話題が出てきます。結論から言うと、妻(控除対象配偶者)の名義で契約しているiD…

この点は、子どもの国民年金保険料を親が払う場合とは違います。生計を一にする子どもの保険料を親が払えば、その分は親の社会保険料控除になります。親の所得税・住民税を減らすという観点では、iDeCoより国民年金保険料の負担のほうが、制度の筋として分かりやすいのです。

所得が無いと、控除も使えず加入もできない

子ども本人に所得がほとんどなければ、iDeCoの所得控除の恩典にあずかることはできません。控除は、差し引く所得があって初めて意味を持つからです。学生やアルバイト程度の収入では、給与所得控除と基礎控除だけで課税所得は0になることが多いと思います。

また、所得が少なく国民年金保険料を払えない学生は、多くの場合「学生納付特例」(在学中の保険料の支払いを猶予する制度)を使います。この猶予を受けている間は、原則としてiDeCoに加入できません。

つまり、例えば子どもが大学3年~4年の間にiDeCoをやらせたいなら、まず保険料を払っている状態が前提になります。その保険料を親が払えば、控除は親に出る。iDeCoの控除は、子どもに所得がなければ出ない。こう並べると、親が満額拠出する意味は、大きくありません。

60歳まで引き出せないという重さ

iDeCoには資金拘束があります。原則として60歳まで引き出せません。

20歳前後の子どもにお金が要る場面は、老後だけではありません。進学、留学、引っ越し、結婚、住宅、転職。人生の前半にこそ資金需要は多いです。20歳の時点で老後まで固定してしまうことが、本人にとって本当に望ましいのかは、慎重に考える必要があります。

非課税で長く運用できる利点は、確かにあります。ただ、控除を十分に使えない時期に、無理に満額を入れる必要があるのかは、疑問が残ります。

先に考えるのは国民年金、次に使える資産

資産形成としては悪くありません。長期運用の効果も期待できます。贈与も、金額を管理すれば問題は生じにくいでしょう。ただ、節税策として見ると弱い。控除は親に出ず、子どもに所得がなければそれも薄い。加えて60歳まで動かせません。

親として先に考えるべきは、子どもの国民年金保険料を払うことだと思います。未納を防げますし、親の控除にもつながります。そのうえで余裕があるなら、いきなりiDeCoではなく、必要なときに使えるNISAなど流動性のある形を持たせるほうが現実的かもしれません。

子どもが働き始め、自分でiDeCoの意味を理解して始めるなら、それは良いことです。その段階で親が一部を支援したり、考え方を伝えたりする関わり方はあり得ます。親にできるのは、満額拠出してあげることだけではありません。制度の有利不利を伝え、最後は本人が判断できるようにしておくこと。それも一つの支援だと思います。

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