昨日の記事では、通勤手当の非課税限度額の改正に関するQ&Aのうち、Q2-1からQ2-4までを取り上げました。「どの駐車場が非課税の対象になるのか」という入口の論点でした。
今日は、その続きとしてQ3-1からQ3-4を読んでいきます。ここは「駐車場代を含めた非課税限度額を、実際にどう計算するのか」を扱うパートです。実務で給与計算をする側からすると、ここがいちばん手を動かす部分になります。
自動車通勤+駐車場代の場合の計算
Q3-1は、自動車などで通勤していて、要件を満たす駐車場代も負担している人のケースです。
非課税限度額は、通勤距離の区分に応じた金額(例:片道45km以上55km未満なら32,300円)に、1か月当たりの駐車場代相当額(上限5,000円)を加えた金額になります。式にすると、「距離区分の非課税枠+駐車場代(最大5,000円)=非課税限度額」という単純な足し算です。
Q&Aでは、片道50kmの従業員について4つのケースが示されています。たとえば駐車場代が月8,000円の場合、上限の5,000円までしか加算できないので、非課税限度額は32,300円+5,000円=37,300円になります。一方、駐車場代が4,400円であれば、その全額が加算され、非課税限度額は36,700円となります。
支給額がこの限度額を超えた分だけが課税対象です。距離分と駐車場代分を区分せず、まとめて1本の通勤手当として支給している場合でも、計算の考え方は同じです。
電車+自動車+駐車場代の場合の上限
Q3-2は、もう少し複雑なパターンです。電車などの交通機関に加えて、自宅と最寄り駅との間で自動車を使い、さらに駅前の駐車場代も負担しているケースを想定しています。
このときの非課税限度額は、合理的な定期代に、距離区分の非課税枠と、駐車場代相当額(上限5,000円)を足したものになります。ただし、全体の上限は月150,000円までです。
Q&Aのケースでは、定期代115,000円、距離分32,300円、駐車場代4,000円で合計151,300円となり、150,000円を超えた1,300円が課税対象になっています。組み合わせて計算しても、最終的に150,000円という天井で頭打ちになる点は、改正前と変わっていません。
駐車場代の「1か月当たりの料金相当額」をどう出すか
Q3-3は、計算式に入れる「1か月当たりの駐車場等の料金相当額」をどうやって算出するかを示しています。月極でない契約のときに迷う部分です。
月単位で料金が決まっている場合は、その金額をそのまま使います。3か月分まとめて24,000円なら、12で割るのではなく、3で割って8,000円とします。年単位なら12で割ります。
利用の都度払うコインパーキングなどの場合は、いくつかの方法が示されています。1か月の実際の支払額の合計を使う、1回当たりの料金に出勤日数を掛ける、平均的な利用時間から算出する、といった方法です。Q&Aには、回数券で駐輪場を利用するケースについて、「1,200円÷11枚×20日=2,182円」という計算例まで示されています。
なお、消費税相当額は含めた金額で計算します。ここは見落としがちなので、契約書を確認するときに意識しておきたい点だと感じました。
片道2km未満の人は対象外
Q3-4は、ピンポイントの論点です。通勤距離が片道2km未満の人は、駐車場代の非課税の対象にならない、という確認です。
片道2km未満の人は、もともと距離区分による非課税枠が「全額課税」となっています。改正後の駐車場代の上乗せも、この層は対象から除かれています。会社の至近距離に住んでいるけれど自宅に駐車場がなく、会社近くの月極を借りている、というケースでは、駐車場代を支給しても全額が給与課税となります。
ここは「2km未満は通勤手当そのものが非課税にならない」というそもそものルールがそのまま生きている、と整理しておけば分かりやすいかと思います。
ここまで読んでみて
Q3全体を通して印象に残ったのは、計算の枠組みは意外と単純である、ということです。距離区分の枠に駐車場代(最大5,000円)を足す、それだけです。複雑に見えるのは、「1か月当たりの料金相当額」の出し方にいくつかの場合分けがある点と、上限5,000円が「1人当たり」であって「1施設当たり」ではない点くらいでしょうか。
実務で混乱しやすいのは、おそらくコインパーキングや回数券のケースです。「合理的な方法であればよい」とされているものの、社内で計算ルールを統一しておかないと、人によって金額の出し方が変わってしまいかねません。給与規程の改訂と合わせて、駐車場代の申請書のひな形にも算出方法を書き込んでおくと、後々の手間が減ると思います。

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