インボイス登録予定、会社をこれから設立する場合の決算月について

法人税

インボイス制度に合わせて課税事業者になった事業者向けに、消費税の納税額を「売上にかかる消費税の2割」で済ませられる経過措置があります。いわゆる2割特例です。

この特例には期限が設けられています。法人の場合、令和8年(2026年)9月30日を含む課税期間までが対象です。9月30日が事業年度の途中であれば、その事業年度の終わりまでは2割特例で計算できます。逆に、9月30日より前に事業年度が終わってしまえば、その先は2割特例を使えません。

個人事業主については、令和8年度税制改正で「3割特例」という後継の措置が設けられる見込みですが、法人は対象外とされています。法人にとって2026年9月30日が一区切りになる、ということは押さえておきたい点です。

これから設立するなら「決算月の置き方」で適用期間が変わる

ここからが本題です。

会社を設立する際には定款で事業年度を決めます。よく「設立月の前月を決算月にする」と言われますが、これか必須ではありません。1年以内であれば自由に設定できます。

例えば2026年の春から夏ごろに設立する場合を考えます。仮に5月に設立して4月決算とすると、最初の事業年度は2027年4月末で終わります。この事業年度には2026年9月30日が含まれていますので、2027年4月まで12か月間は2割特例が使え、翌事業年度2割特例が使えません。

これを、4月決算ではなく8月決算にするとどうなるか。

設立事業年度:2026年5月某日~2026年8月31日(4か月)
2期目:2026年9月1日~2027年8月31日(12か月)

2期目に2026年9月30日は含まれていますので、2027年8月末までは2割特例が使えることとなります。

決算期により、2割特例が使える期間が4か月ほど伸びる、ということです。

設立後1年の利益と、そこから4か月後の利益では、規模が大きく異なることが多いはずです。事業が伸びてきた頃に特例の恩恵を受けられるのは、効いてくるケースもあるのではないでしょうか。

8月より後の月を決算にする場合の注意点

逆に、決算月を9月以降に置くと注意が必要です。

例えば9月決算にした場合、最初の事業年度の途中である2026年9月末に特例期間が終わってしまうことになります。仮に2026年5月設立・9月決算であれば、最初の事業年度はわずか5か月で終わります。その後の事業年度には2026年9月30日が含まれませんので、2割特例の対象外です。

「決算月を1か月ずらすだけ」で適用できる課税期間の数が変わってしまうことは、設立時の検討に値する論点だと感じます。私自身、税理士業をやる個人事業主とは別に、税理士業以外の業務を法人として独立させることを検討していたところ、この論点が出てきました。

2割特例を使うための前提条件

決算月の話の前に、そもそも2割特例を使うには条件があります。

ひとつは、インボイス制度をきっかけに免税事業者から課税事業者になっている、ということです。新設法人の場合、設立時点から課税事業者になるケースには注意が必要で、資本金1,000万円以上で設立した法人や、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える事業者などは、もともと2割特例の対象外です。

このあたりは新設時の資本金設定や、特定期間の判定とも絡んできますので、設立前に一通り確認しておきたいところです。

「インボイス登録が必要かどうか」がそもそもの分岐点

もう一段手前の話です。

決算月の検討は、「インボイス登録をする」という前提で意味を持つ話です。取引先に課税事業者が多く、インボイス発行を求められる業種であれば、登録は実質的に避けにくいでしょう。一方で、消費者向けの事業や、取引先が免税・簡易課税の小規模事業者中心であれば、登録しないという選択肢も依然として残っています。

一度インボイス登録をすると、免税事業者に戻すには別途手続きと一定の期間が必要です。設立時点で「登録するかどうか」「するならいつから」を整理し、そのうえで決算月を決める、という順番が落ち着くと思います。

決算月は、登記事項ではなく定款の記載事項です。設立後でも株主総会の決議で変更できますので、後から動かすこと自体は可能です。ただ、設立時にあわせて決めてしまえる話を後でやり直すのは、それなりに手間でもあります。最初の判断で寄せておく価値はあるはずです。

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