電子帳簿保存法一問一答が更新――デジタルシームレス保存

税金全般

昨日、令和8年7月16日付で電子帳簿保存法の一問一答が更新されていることを確認しました。
電子帳簿保存法は、大きく「電子帳簿・電子書類保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つに分かれています。

それぞれ対象となる書類や、制度を利用する場面が異なります。まずは、この3つを分けて理解する必要があります。

今回の一問一答も、この3分野について別々に公表されています。

【任意】自分で作った帳簿や書類をデータで保存する「電子帳簿・電子書類保存」

一つ目は、パソコンや会計ソフトを使って自分で作成した帳簿や書類を、データのまま保存する制度です。

対象となる帳簿には、仕訳帳や総勘定元帳などがあります。書類には、自社で作成した請求書や見積書の控えなどがあります。

たとえば、会計ソフトで仕訳帳と総勘定元帳を作成している場合、そのデータを所定の要件に従って保存します。請求書をパソコンで作成し、取引先へ交付した場合には、その控えをデータで保存することもできます。

ここでのポイントは、最初から自社のパソコンやシステムで作成したものであることです。

紙で作成した書類を後からデータにする制度ではありません。また、取引先からメールで受け取った請求書を保存する制度とも異なります。

【任意】紙で受け取った書類を画像で保存する「スキャナ保存」

二つ目は、紙で受け取った請求書や領収書などを、スキャナやスマートフォンで読み取って保存する制度です。

たとえば、飲食店でもらった紙の領収書をスマートフォンで撮影し、その画像を保存する場合が該当します。

一定の要件を満たしてスキャナ保存を行えば、読み取り後の紙を廃棄できる場合があります。ただし、単に写真を撮ってスマートフォンに残しておけばよいわけではありません。

読み取るまでの期限、画像の鮮明さ、訂正や削除に関する履歴、検索機能などの要件があります。書類の種類によっても取扱いが異なります。

この制度は任意です。紙の領収書を、そのまま紙で保存する方法も引き続き認められています。

スキャナ保存を導入するかどうかは、紙を減らす利点と、保存要件に対応する事務負担を比べて判断することになります。

【義務】データでやり取りした書類をデータのまま残す「電子取引」

三つ目は、電子メールやインターネットを通じて受け取った請求書、領収書、見積書などを、電子データのまま保存する制度です。

たとえば、メールに添付されたPDFの請求書、通販サイトからダウンロードした領収書、クラウド上で受け取った請求書などが該当します。

電子取引データ保存は、前の二つとは性格が異なります。

電子帳簿・電子書類保存とスキャナ保存は、事業者が利用するかどうかを選択できる制度です。一方、電子取引により受け取った取引情報は、原則として電子データのまま保存しなければなりません。

PDFの請求書を印刷して紙だけを残し、元のPDFを削除する方法では、原則として電子帳簿保存法上の保存をしたことにはなりません。

実務上、最も多くの事業者に直接関係するのは、この電子取引データ保存だと思います。

今回の更新で示された「デジタルシームレス保存」

令和8年7月版の更新では、電子取引データに関する重加算税の加重措置と、その除外措置についての説明が追加・整理されています。

電子取引データを改ざんするなどして申告漏れが生じた場合、通常の重加算税に一定割合が上乗せされることがあります。

一方、令和9年1月1日以後、一定の要件を満たす方法で電子取引データを保存している場合には、この上乗せの対象から除外される制度が始まります。国税庁は、この保存方法を「デジタルシームレス保存」と説明しています。

銀行、クレジットカード会社、通販サイトなどの取引データを、システム間の連携によって直接取り込むことが想定されています。さらに、データと帳簿の記録との関係を確認できることや、訂正・削除の履歴が残ることなどの要件があり、単にPDFを保存しているだけでは対象になりません。

ただし、今回示されたのは、あくまで重加算税の加重措置の適用除外です。

税務調査が行われ、その結果、隠蔽または仮装の事実が判明し、重加算税が課される場面が前提となります。そのうえで、所定の方法によりデジタルシームレス保存をしていれば、電子取引データの改ざんなどに対する追加の上乗せ部分が適用されない、という仕組みです。

通常の重加算税そのものが免除されるわけではありません。また、適正に申告している事業者に直ちに何か影響が生じる制度でもありません。

その意味では、今回の更新は、多くの事業者の日常的な経理処理に直接影響するものではなく、税務調査で不正が認定された後の、極めて限定的な場面を想定したものと捉えています。

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