国税庁から、飲食料品に係る2年間の消費税率引下げについて、リーフレットとQ&Aが公表されました。令和8年9月15日に閣議決定された大綱の内容を説明したものです。
リーフレット
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0026008-127_leaflet.pdf
Q&A
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0026008-127_qa.pdf
まだ法律として成立したわけではなく、Q&Aにも、法案が国会で可決・成立した場合の内容だと書かれています。
Q&Aは、税率の適用時期やインボイスの書き方など幅広く扱っています。この記事では、簡易課税を受けている事業者向けの特例(問3-5)に絞ります。
簡易課税のままだと還付は受けられない
令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品の税率が1%になります。国と地方の合計です。対象の範囲は、現在8%が適用されている飲食料品と同じです。
簡易課税の計算にも特例が設けられます。飲食料品の売上にかかる税額と同じ額を、仕入税額として差し引く扱いです(問3-6)。飲食料品の部分だけを見ると、納税額は差し引きゼロになります。
一方、一般課税(本則課税)では、実際に支払った消費税を差し引きます。売上が1%でも、家賃や包装資材、手数料などは10%のまま支払います。そのため、多くの場合、還付になる余地があります。簡易課税では、この還付は受けられません。
どちらが有利かは、事業の中身によって変わります。業種ごとの考え方は、以前の記事で整理しました。

簡易課税をやめる届出は、本来は前もって出すもの
簡易課税をやめるには、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出します。原則として、やめようとする課税期間が始まる前日までに出す必要があります。
また、簡易課税を選んだら、2年間は続けて適用しなければなりません。
通常は、期の途中で「一般課税のほうが有利だった」と気づいても、その期は簡易課税のままです。
特例では「その課税期間中」に出せばよい
今回の特例では、この提出時期が緩められます。飲食料品の譲渡を行う簡易課税選択事業者は、令和9年4月1日の属する課税期間中に届出書を出せば、その課税期間から原則課税で申告できます。その課税期間については、2年縛りも適用されません。
個人事業者と12月決算法人なら、令和9年1月1日から12月31日までの期間です。3月決算法人であれば、一般に令和9年4月1日から始まる事業年度が該当します。
法案が成立すれば、令和9年4月1日より前でも提出できるようになる予定です。また、簡易課税で仮決算による中間申告をすでに済ませていても、一般課税でやり直す必要はないとされています。
期限は申告期限ではない
読み違えやすいのが、この「課税期間中」という書き方です。申告期限までではありません。
個人事業者の令和9年分の消費税の申告期限は、令和10年3月31日です。しかし、届出は令和9年12月31日までに出す必要があります。年が明けてから決算の数字を見て、両方で計算して有利なほうを選ぶことはできません。
期の途中で年間の売上と経費を見込んで判断することになります。税率10%の経費が多い事業者ほど、早めに試算しておく意味があります。年末は税務署の窓口が閉まりますので、ぎりぎりの提出は避けたほうが無難だと思います。
「参考事項」欄に「飲食料品特例」と書く
もう一つ、記載方法にも決まりがあります。
特例を使う場合は、「この届出の適用開始課税期間」欄に、令和9年4月1日の属する課税期間を書きます。そのうえで、「参考事項」欄に「飲食料品特例」と記載します。
参考事項欄は、ふだん空欄のまま出すことも多い欄です。記載がなければ、特例ではなく通常の届出と区別がつきません。通常の届出の効力は、翌課税期間からです。この一言は忘れずに書いておく必要があります。
