2026年10月1日から、自治体がふるさと納税の募集に使える経費の上限が、寄附額の50%から47.5%へ引き下げられます。その後も段階的に圧縮され、最終的には4割以下となる予定です。あわせて返礼品の地場産品基準も厳格化されます。
返礼品にかけられる原資が細くなりますから、同じ品をもらうのに必要な寄附額が上がったり、提供そのものが終わったりする方向に働きます。9月のうちに寄附をと考える方も多いかと思います。
今回は寄附上限額まわりで、気をつけるべき点を書きます。
自己負担2,000円は、税率が動かないことが前提です
ふるさと納税は、寄附額から2,000円を引いた金額が、所得税と住民税から差し引かれる仕組みです。上限の範囲内なら自己負担は2,000円で済む。そう説明されます。
この「ちょうど2,000円で収まる」という設計は、三つの控除の合計がぴったり100%になることで成り立っています。所得税の分、住民税の基本分10%、そして住民税の特例分です。特例分は、100%から10%と所得税率を引いた残りを埋める役割を持っています。
つまり、所得税率がいくつかによって特例分の大きさが決まる。ここが今回の入り口です。
所得税は寄附後の税率、住民税は寄附前の税率
所得税では、ふるさと納税は所得控除(寄附金控除)になります。所得から、寄附金の額マイナス2,000円を引いて、そのうえで税額を計算します。寄附をすると課税所得そのものが下がります。
一方、住民税では税額控除です。税額を出した後で差し引くので、課税所得は動きません。
普段はこの違いが表に出ません。問題になるのは、寄附によって課税所得が税率の境目をまたいだときです。所得税の側は、下がった後の低い税率でしか戻ってきません。ところが住民税の特例分は、寄附前の高い税率を前提に計算されます。高い税率を前提に残りを埋めているので、埋める額が小さい。結果として、両方を足しても100%に届かなくなります。
仮の例で計算してみます
所得税の課税所得が905万円の方が、30万円を寄附したとします。復興特別所得税を含め、住民税の所得割額の2割という枠には収まっているものとします。
所得税の税率は900万円を境に23%と33%に分かれます。この方は寄附前は33%の区分です。寄附により課税所得は875万2,000円まで下がり、23%の区分に移ります。
所得税で戻るのは、900万円を超える5万円の部分が33%、残り24万8,000円の部分が23%です。合わせておよそ7万5,000円。住民税の特例分は33%を前提に計算されるため、およそ16万8,000円。基本分の10%が2万9,800円。合計すると約27万3,000円です。
30万円との差は約2万7,000円。2,000円で収まるはずが、10倍以上になっています。
境目を下回った24万8,000円について、33%で戻るはずが23%でしか戻らなかったので、その10%分に復興特別所得税を乗せた金額が、そのまま自己負担に上乗せされています。
境目に近い方は、少し手前で止めるのが無難です
ふるさと納税シミュレーションをしながら、なぜ2,000円を超えるのかがしばらく腑に落ちませんでした。所得税と住民税で控除の種類が違うという一点に行き着いて、ようやく納得したところです。
この現象が起きるのは、課税所得が税率の境目のすぐ上にいる方です。195万円、330万円、695万円、900万円、1,800万円。このあたりに近いかどうかを、寄附の前に一度見ておくとよいかと思います。
多くの試算サイトは、寄附前の税率で一本計算する作りになっています。上限額そのものは正しく出ます。ただ、自己負担が2,000円で収まるかどうかまでは見ていないことがあります。
もっとも、9月の時点で令和8年1年分の所得を正確に見通すのは、そもそも難しいことです。まだ3か月以上残っています。自分が境目のすぐ上にいるのかどうかも、いまは確定していません。
そう考えると、9月末までに駆け込むにしても、寄附額は手前で止めておくほうが無難かと思います。上限ぎりぎりまで寄せて自己負担が膨らむより、残りの3か月で所得を伸ばすほうに力を向けるほうが上限自体も上がりますし、読み違えたときの傷も浅くて済みます。

