税理士事務所や税理士法人での生成AIの使い方、活用事例を扱う勉強会に参加してきました。かなり勉強になったので、自分の事務所でもすぐ取り組めそうなことを備忘として残しておきます。
何から手をつけていいか分からない、という最初の壁
効率化や仕組み化といっても、そもそも何から始めればいいのか分からない。この状態でつまずいている人は多いようです。
そこで共有されていたのが、自分の業務内容をひととおりAIに伝えてしまって、そこから提案を出してもらうという方法でした。効率化できそうな作業を自分で探すのではなく、探す作業そのものを任せてしまうという発想です。
もうひとつ、過去のAIとのやり取りをまとめて渡したうえで「自分に一番合ったものを作るとしたら何か」と相談する方法も紹介されていました。日々の会話の中に、自分の業務の癖や困りごとが残っているという理屈です。言われてみればそのとおりで、履歴を資産として使うという発想が自分にはありませんでした。
「ツールを作ること」だけがAI活用ではない
AI活用というと、何か新しい仕組みを作る話になりがちです。ただ、勉強会ではもっと根底の話も出ていました。
たとえばフォルダの構成をどうすべきかの相談。あるいはGoogleのスプレッドシートなどで動く簡単な自動化の作成。すでに手元にあるツールをどう使い倒すか、という相談も含めて聞いてみるとよい、という話でした。
さらに、MCPやAPIの仕組みを使うと、画面上で何度もクリックする操作を挟まずにサービス同士をつなげられる場合があります。弊事務所においてもクラウド会計ソフトはMCPとAPIを活用していますが、ほかのサービスにおいてもMCPやAPIが対応しているかもしれないので、できるかどうかをまず質問してみる姿勢が肝要だと思いました。
AIが書いた文章は、そのままでは送れない
参加者から出ていて、これはそうかもしれないと思ったのが、AIが書いた文章はそのまま送れないことが多いという指摘です。特にクライアント向けの文章は、いかにもAIが書いたという感じが残り、かなりの手入れが必要になることも。
個人的には、AIに文章を書かせると「漏れなく書く」という方向に寄りすぎて、とにかく長くなる気がしています。忙しい経営者の方が、こちらから送った文章を最後まで読む時間があるとは限りません。もう少し削って書いてほしいと思います。
ただ、この違和感を放置したままにしているのが良くないのだとも思いました。長い、堅い、この言い回しは使わない。そういうことをきちんと言葉にして伝え、覚えさせて育てていく作業が必要なのだと思います。
覚えさせる過程が、圧倒的に足りていない
総じて、生成AIのアウトプットに満足できていないのは、自分の情報を渡す過程がまだ足りていないからではないかと感じました。単にこちらのプロンプトが悪いという可能性も十分にあります。ただ、そういうときは指示の書き方そのものを相談すればいいという話でもあります。
勉強会で共有された事例の中には、弊事務所でもすぐ取り入れられそうなものがありました。まずは、それを実現するには前提として何を揃えてどう進めればいいのか、というレベルから相談してみようと思っています。日々の業務が1%でも軽くなれば十分です。
情報がいつ時点のものかは、自分で確かめるしかない
もうひとつ気をつけたいのが、参照している情報の古さです。
生成AIには、ある時点までの情報で学習を止めているものがあります。これをナレッジカットオフと呼ぶそうです。加えて、その場でウェブを見に行く動き(ブラウジング)をあまりしないものもあります。この二つが重なると、税制改正前の情報をもとにした回答が出てくることがあり得ます。
実際、Xの税理士アカウントの投稿の中にも、明らかにAIが書いたと思われるもので、令和8年度改正前の内容と見られるものがありました。最終的には自分で一次情報に当たるしかありません。これは生成AIが出てくる前から変わらない話です。

