会社から個人にお金を貸すときの利率について

法人税

経営者と会社の距離が近い会社では、資金の出入りが混ざりやすい構造があります。判断する人と出資している人が同じだからです。手元が足りず一時的に引き出す。金額が小さければ、誰も気に留めません。

ただ、税務では会社と個人は別の人格です。会社が個人にお金を渡せば、多くの場合それは贈与か給与か貸付けかのいずれかになります。貸付けとして整理するなら、利息の話が必ずついてきます。

令和8年中の貸付けは、年1.3%です

利率の考え方は二段構えです。会社が銀行などから借りたお金をそのまま貸したことが明らかなら、その借入金の利率。それ以外は、貸付けを行った日の属する年ごとに定められた利率を使います。

この利率は、令和4年から令和7年までは年0.9%で据え置かれていました。令和8年中の貸付けは年1.3%です。令和7年11月末の財務省告示で令和8年の平均貸付割合が0.8%と決まり、これに0.5%を加えた割合とされているためです。4年ぶりの引上げになります。

判定の基準は「貸付けを行った年」です。令和7年以前に貸した分を、年が変わったという理由で1.3%に上げるものではありません。逆に、既存の残高に上乗せして貸した分は令和8年の利率で判定します。貸した日ごとに元本を把握しておく必要があります。

なお、無利息でも課税されない場合が定められています。実務で使えるのは、会社の借入金の平均調達金利など合理的と認められる利率を定めて貸すケースでしょう。差額が年5,000円以下なら課税されないという枠もありますが、1.3%だと元本40万円弱で埋まります。

法人税負担ではなく、源泉徴収の側

無利息で貸した場合、会社は本来受け取るべき利息相当額を収益に計上します。入金がないのに益金が増えます。これが認定利息です。

同時に、その金額は借りた個人が受けた利益とみなされ、役員や従業員であれば給与になります。個人には所得税がかかり、会社には源泉徴収の義務が生じます。

役員給与は毎月同額であることなど一定の要件を満たさないと会社の経費になりません。ただ通達は、低利貸付けによる利益を、毎月著しく変動するものを除いて毎月おおむね一定のものとして扱っています。返済で利息が少しずつ減る程度なら、この枠に収まります。

つまり会社側は益金と損金が同額立ち、法人税の負担は大きく動かないのが通常です。痛むのは源泉徴収と、個人の所得税・住民税のほうです。残高が3,000万円あれば、給与として扱われる額は年39万円になります。社会保険料に跳ねる可能性もあります。

仮払金の放置も、同じ問題に行き着きます

ここまでは貸付けだと認識している場合の話です。実務で多いのは、そのつもりがないケースです。

出張や仕入れのために渡した仮払金。本来は精算されて消える勘定です。ところが精算されないまま決算をまたぎ、翌期も残高が動かない。こうなると名目が仮払金でも、実態は貸付けと変わりません。調査では勘定科目の名前ではなく実態で判断されます。

もう一段悪いのは、使途が説明できない場合です。貸付けですらなく、その時点の臨時的な給与、つまり役員賞与として認定される可能性があります。こちらは会社の経費にもならず、源泉徴収漏れも残ります。損得でいえば、はるかに重いです。

貸付けなら契約書を作り、利率と返済期日を決め、実際に返済する。契約書があっても返済実績が一度もなければ、実態として認められない可能性が残ります。仮払金なら精算の期限を決めておくことが重要です。

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