前回、情報漏えいのニュースが続いていることについて書きました。

今回はその続きとして、私が実際にどうパスワードを管理しているのかを書きます。
被害が広がるのは、パスワードを使い回しているとき
どこかのサービスから情報が漏れたとき、困るのはそのサービスだけではありません。同じパスワードを別のサービスでも使っていると、そちらにも芋づる式に入られます。
サービスごとにパスワードを自分で考えていると、数が増えるにつれて管理が煩雑になりがちです。似たものを使い回したり、短くて弱いものが混ざったりします。
つまり、守りの基本は、1か所で漏れても他に広がらない形にしておくことです。そのための方法は2つあります。
使い回しを断つ方法は2つある
1つ目は、「Googleでログイン」が選べるサービスでは、そちらを使うことです。この場合、そのサービスに自分のパスワードは渡していません。そのサービスから情報が漏れても、パスワードが流出して別の場所で使われる、ということは起きません。
2つ目は、Googleでログインできないサービスについて、パスワード管理アプリを使うことです。管理アプリにはパスワードを自動で作る機能があり、サービスごとに長くて別々のパスワードを用意できます。自分で覚える必要がないので、使い回す理由がなくなります。私は1Passwordというアプリを使っています。
この2つを組み合わせると、個々のサービスから漏れても、被害はそのサービスの中で止まります。
守る場所は、Googleアカウントと管理アプリの2つになる
その代わり、守るべき場所がはっきりします。Googleアカウントと、管理アプリの2つです。
Googleアカウントが乗っ取られると、それでログインしているサービスもまとめて危なくなります。Gmailを読まれれば、ほかのサービスのパスワード再設定に使われるおそれもあります。
Googleアカウントでやることは3つです。2段階認証を設定すること。できればパスキーにすること。復旧用のメールアドレスと電話番号を登録しておくことです。
パスキーは、パスワードを打ち込む代わりに、スマホの顔認証や指紋認証でログインする仕組みです。パスワードを入力しないので、偽サイトに打ち込んで盗まれることが起きにくくなります。復旧用の連絡先は、乗っ取り対策というより、自分が入れなくなったときの備えです。
管理アプリの側では、ログインに使うマスターパスワードを、ほかのどこでも使わないものにします。1Passwordの場合は、これに加えて「シークレットキー」という鍵があり、両方をなくすと、一般に運営会社の側でも元に戻せない仕組みになっています。
そして、この2つが乗っ取られる入口は、多くの場合メールのリンクのようです。本物そっくりのメール(Gmailはそのほとんどを事前にブロックしてくれてはいますが)が届き、リンク先の偽サイトにIDとパスワードを入れてしまう。「お支払い方法を確認してください」というメールが来ても、リンクは押さずに、公式アプリかブックマークから入って確かめます。
管理アプリは、ほかのアカウントに頼らないものを選ぶ
管理アプリには、iPhoneに最初から入っているパスワードアプリもあります。普段使いには問題ないと思います。私が1Passwordを選んでいるのは、Appleのアカウントから独立しているからです。
iPhoneのパスワードアプリは、Appleのアカウントに紐づいています。Appleのアカウントが乗っ取られたり、ロックされて入れなくなったりすると、パスワードもまとめて使えなくなります。Appleのアカウントの復旧は、状況によっては数日以上かかることがあるとされています。その間、ほかのサービスにも入れないということが起こり得ます。
これは、守る場所がもう1つ増えることを意味します。GoogleアカウントとAppleのアカウントのどちらかでつまずくと、パスワードまで巻き込まれる形です。1Passwordなら、保管場所はそれ自体で完結しているので、Appleのアカウントに何かあっても残ります。
ほかにも、MacからWindowsに乗り換えるときや、家族とパスワードを共有するときにも、1Passwordのほうが融通が利くと思っています。
iPhoneのパスワードアプリで続けるなら
iPhoneのパスワードアプリで続ける場合は、Appleのアカウントも、Googleアカウントと同じ扱いで固めておくことをおすすめします。
具体的には、2段階認証がオンになっているかを確かめること。Appleのアカウントのパスワードを、ほかのサービスで使い回さないこと。そして「復旧用連絡先」を設定しておくことです。
復旧用連絡先は、家族など信頼できる人をあらかじめ登録しておき、自分が入れなくなったときに、その人の端末に表示されるコードを使って復旧する仕組みです。登録した相手が、自分のアカウントの中身を見られるようになるわけではありません。
この設定は、入れなくなってからでは間に合いません。
漏えいそのものは防げなくても、広がらない形にしておくことはできます。パスワードの管理も、自分でできる自衛の一つだと思います。
