国税庁のホームページに、源泉所得税の納付書に印字するためのツールが掲載されています。正式な名前は「所得税徴収高計算書(納付書)の印字ツール」です。
源泉所得税は、給与や報酬を支払う側が、相手の所得税を天引きして代わりに納める税金です。その納付に使う用紙が、所得税徴収高計算書です。
画面に金額などを入力し、手元のプリンターで納付書に印字する仕組みです。給与の毎月納付用、納期の特例用、報酬・料金用など、納付書の種類ごとに入口が分かれています。
最初にこのページを見たとき、私は「白紙の用紙さえあれば、事務所で納付書を作れるようになるのか」と受け取りました。税務署へ用紙をもらいに行く手間が減るなら、ありがたい話です。ただ、注意書きを読むと、そういう話ではありませんでした。
使えるのは税務署で交付された用紙だけです
ツールのページには、利用上の留意事項が最初に書かれています。対応しているのは、税務署や業務センターで一部の事項を印字したA4版の納付書だけです。それ以外の用紙に印字した場合、金融機関の窓口で受け付けてもらえない可能性があるとされています。
所定の用紙に印字した場合でも、印字ずれや数字のかすれがあれば、同じく受け付けられない可能性があると書かれています。
つまり、用紙は今までどおり税務署から入手する必要があります。白紙の用紙を自分で用意して、一から納付書を作れるわけではありません。ツールが代わってくれるのは、手で書いていた部分の記入だけです。
背景にあるのは納付書の様式変更です
国税庁は、令和8年9月24日から、税務署の窓口で配る納付書を変更すると予告していました。
主な変更は2つです。1つは、納税者を見分ける番号が、8桁の「整理番号」から13桁の「お問い合わせ番号」に変わることです。この番号はあらかじめ印字した状態で配られるため、自分で書く必要はないとされています。
もう1つは用紙の形です。A4三つ折り程度の複写式から、A4サイズの単票式に変わります。単票式とは、下の紙に写らない1枚ものの用紙のことです。
複写式なら、1回書けば3枚分に写りました。単票式では、税額などを各片に書く必要があり、同じ内容を3回書くことになります。国税庁は、この手間を減らすために印字ツールを用意したと説明しています。
新しい便利機能というより、様式変更で増える手間を埋めるための手当てと見るほうが、実態に近いと言えそうです。
当面は新旧の用紙が混在します
年末調整の時期に税務署から郵送される納付書は、引き続き複写式の予定とされています。単票式になるのは、主に窓口で受け取る用紙です。
また、整理番号欄のある従来の複写式は、令和10年9月頃まで使える予定です。しばらくは、手元に両方の用紙がある事業者も多いと思われます。
単票式を使うときの注意点も、国税庁のページに書かれています。納付書は切り離さずに金融機関へ出すこととされています。用紙の左側にある2次元コードは税務署の内部手続用で、読み取って納付することはできません。決済用のコードと見間違えやすいので、注意が必要です。
なお、同じページではe-Taxによるキャッシュレス納付も案内されています。こちらは紙の納付書を使いません。用紙の入手や記入の手間そのものを避けたい場合は、こちらも選択肢になります。
