消費税の中間申告は、税理士の仕事の中では手間の少ない手続きです。
前の年の実績をもとにする場合、多くは税務署から金額の入った申告書と納付書が届きます。
こちらは数字を確かめて、期限までに提出して納めれば済みます。
ところが、この手続きで100円だけ金額が合わないことがあります。
申告ソフトの「達人」で中間申告書を作ると、地方消費税が税務署の金額より100円少なく出る場合があるそうです。
同じ金額を二か所で計算している
中間申告では、同じ金額を税務署と申告ソフトの二か所で計算しています。
どちらも前の年の確定申告の数字から出すので、普通は一致します。
一致しないままソフトの金額で納めると、100円足りないことになります。
その場合、後で税務署に納税証明書を請求したときに、100円の未納を指摘されることがあるそうです。
未納がないことの証明が必要な場面では、多くの場合、この100円を納めるまで証明書を受け取れません。
原因は22/78の掛け方
地方消費税は、国税の消費税額に22/78を掛けて出します。
税率10%の内訳が国税7.8%、地方税2.2%なので、その比率です。
22/78は割り切れません。小数にすると0.282051…と、同じ並びがずっと続きます。
そのため、計算のしかたが二通りあり得ます。
国税額に22を掛けてから78で割る方法と、22/78を先に小数にしてから掛ける方法です。
小数にするときは、どこかの桁で打ち切るしかありません。
打ち切った分だけ、掛ける数は本来の22/78よりわずかに小さくなります。
ほとんどの場合、この差は100円未満の切り捨ての中に収まり、結果は変わりません。
変わるのは、国税額が3,900円の倍数のときです。
国税 390,000円(3,900円の倍数)
22を掛けて78で割る 390,000×22÷78 =110,000円
先に小数にして掛ける 390,000×0.282051… =109,999.9…円 → 109,900円
国税 390,100円(3,900円の倍数ではない)
どちらの方法でも 110,028.2…円 → 110,000円
3,900は78の50倍です。
国税額が3,900円の倍数なら、22/78を掛けた答えはちょうど100円単位の金額になります。
小数で掛けると、その金額にわずかに足りない値が出ます。
そこから100円未満を切り捨てるので、一段下の金額になります。
3,900円の倍数でなければ、どちらで計算しても同じ金額に落ち着きます。
条文はどちらの計算とも決めていない
では、どちらの計算が正しいのでしょうか。
手がかりになるのは地方税法の書き方です。
確定申告の地方消費税は、72条の83で税率を22/78と定めています。
そのうえで72条の88第1項が、国税の消費税額を課税標準、つまり計算の土台として譲渡割額を出す書き方をしています。
譲渡割額とは、地方消費税のうち国内の取引にかかる分のことです。
一方、中間申告を定める72条の87は、国税の額に「七十八分の二十二を乗じて得た金額」と書いているだけです。
1か月、3か月、6か月のいずれの中間申告も同じ書き方です。
掛け算の指示はあっても、22/78をどの順序で計算するかまでは書かれていません。
このため、中間申告でどちらが正しいかは見解が分かれていて、決まっていないようです。
消費税法一問一答アプリ公式サイトの記事でも、税務署の中ですら計算方法がそろっていないようだと書かれていました。
実務での確かめ方
条文で決着がつかない以上、実務では税務署の金額に合わせておくのが無難です。
確かめ方は単純です。
まず、国税の中間納付額が3,900円で割り切れるかを見ます。
割り切れなければ、計算方法の違いは気にしなくて構いません。
割り切れるときだけ、届いた納付書の地方消費税の金額と、ソフトで出した金額を見比べます。
達人を使っている場合は、中間申告書の画面上部にある「計算方法切替」も確認しておくとよいと思います。
選択肢が上下二つあり、下の「『納付すべき消費税額』×22/78」を選ぶと、税務署の金額と一致するとされています。
画面の表記からの推測ですが、上の「×(22/78)」が先に小数にする計算、下が22を掛けて78で割る計算に当たるようです。
もっとも、設定を変えたうえでも、最後は届いた納付書と見比べるのが確実です。
100円のためにどちらが正しいかを税務署と詰める気にはなれません。
条文の上では言い分が立つとしても、その手間は100円に見合わないと感じます。
