法人税の確定申告書は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に提出するのが原則です。ただし、定款の定めや特別の事情がある場合には、申請により1か月間の延長が認められます。根拠は法人税法第75条の2(確定申告書の提出期限の延長の特例)です。
この制度は株式会社を念頭に語られることが多く、合同会社では使えないのではないかと聞かれることがあります。結論から言えば、合同会社でも使えます。ただし、株式会社とは少し違う考え方の整理が必要です。
株式会社の場合
株式会社では、決算の確定は定時株主総会の承認をもって行われます。決算月から2か月以内に株主総会を開き、計算書類を承認し、税額を確定させて申告する、というスケジュールが組めない会社は少なくありません。
そこで、定款で「定時株主総会は事業年度終了後3か月以内に招集する」と定めておけば、申告期限を1か月延ばすことができます。法人税基本通達17-1-4の2では、この制度の対象となる定款の定めの具体例として、(1)定時株主総会の招集時期を事業年度終了の日の翌日から2月を経過した日以後とする旨の定め、(2)定時株主総会の招集時期を事業年度終了の日の翌日から3月以内とする旨の定め、の2つが挙げられています。
合同会社には「株主総会」がない
合同会社には株主がいません。出資者は「社員」と呼ばれます。意思決定は社員によって行われるため、株式会社のような株主総会という機関は存在しません。
法人税法第75条の2第1項の条文は「定時総会が招集されない常況」という表現を使っており、株主総会に限定していません。条文上の「定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの」という書き方も、株式会社以外の法人形態を広く取り込んでいる文言です。合同会社で言えば、社員総会あるいは社員による決算承認の手続きがこれに当たります。
ここは法律の組み立てとして素直に読めばよい部分です。条文が「定時総会」と書いてあるのを「定時株主総会」と読み替えて、合同会社は対象外だと早合点しないように注意したいところです。
合同会社で延長が必要になる場面
合同会社では、業務執行社員が計算書類を作成した時点で決算が確定するのが通常です。会社法上、計算書類の承認について株式会社のような特別な手続きが定められていないためです。
そうすると、合同会社ではそもそも申告期限の延長は不要ではないか、という疑問が出てきます。実務上、延長申請の根拠としてよく使われるのが、もう一つの要件である「特別の事情」です。
法人税法第75条の2第1項は、定款の定めだけでなく「当該内国法人に特別の事情があること」によって2か月以内に決算が確定しない常況にある場合も対象としています。たとえば、海外子会社からの数値の取りまとめに時間がかかる、グループ会社の決算と連動するため自社の決算確定が事業年度終了の日の翌日から3か月目にずれ込む、といった事情です。
合同会社で延長を取りたい場合は、この「特別の事情」を申請書に記載することになります。あるいは、定款を変更して「決算承認は事業年度終了後3か月以内に行う」といった定めを置き、定款の定めに基づく延長として申請する方法もあります。
申請が却下されることはほぼないという肌感
申請には、申告期限の延長申請書を事業年度終了の日までに提出することが必要です。これを出しておけば、実務上、却下されるケースはまず見かけません。
法人税法第75条の2には、税務署長が申請を却下できる旨の明文規定は置かれていません。延長月数の指定について不相当と認める場合の規定はあるものの、定款の定めや特別の事情に基づく1か月の延長そのものを却下するハードルは、運用上かなり低いというのが感覚です。実際、特別の事情の記載がやや弱くても、申請が通っているような気がします。
注意点
延長されるのは申告期限であって納付期限ではありません。法定納期限である2か月以内に納付しない場合、延長期間中は利子税がかかります。実務では、2か月以内に見込納付をして、確定申告で精算する形をとることが一般的です。
また、法人税の延長を受けても、地方税(法人事業税・法人住民税)について別途、自治体への申請が必要です。消費税の申告期限延長は、法人税の延長を受けていることが前提となります。消費税の延長を希望する場合は、別途、消費税申告期限延長届出書を提出する必要があります。
合同会社だから延長は使えない、ということではありませんので、設立直後の合同会社で、決算スケジュールに不安があるなら、初年度の事業年度終了までに申請しておくのが無難かもしれません。

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