更正の請求や、欠損金の繰戻し還付請求といった手続きがあります。これらは、税務署が質問検査権を行使する税務調査ではなく、行政指導の範囲で進められるものです。
こうした手続きは、従来は税務署の課税部門の職員が処理していました。今は業務センターに集約されています。原則として、センターで一括して事務を進める形です。
効率化のための施策でしょう。ただ、納税者の側から見ると、行き届かない面もあります。
複雑な案件で、直接の説明ができなくなった
その一つが、複雑な更正の請求の処理です。
定型的な案件であれば、センターでの集中処理に大きな問題はないのかもしれません。問題は、法令の解釈や事実関係が入り組んだ案件です。
従来であれば、署の担当者に直接連絡が取れました。税務代理人が、背景や事実関係をその場で説明できたのです。「こういう事情です」と伝えるやりとりが、処理を円滑にしていた面があります。
センター化で、この接触がなくなりました。センターの職員は、税理士などと対面では接触しません。
そのため、複雑な更正の請求でも、伝えたいことをすべて文章にする必要があります。直接会って10分話せば済むことも、テキストでの説明に置き換わります。文章では、相手の理解を確かめながら補うこともできません。誤解があれば、そのぶん処理が遅れます。
対面であれば、職員の側から「この点が分かる資料を一枚出してください」と促してもらえることもあります。文章だけのやりとりでは、こうした軌道修正がしにくくなります。本来なら一度で済む確認が、何度かの資料のやりとりに分かれることもあります。
内示の後に起きやすいこと
別の論点もあります。毎年7月の定期人事異動を前に、6月下旬には税務署の内示(異動の事前通知)があります。
一般に、内示の後の職員は、今の業務に集中しにくくなります。特に異動が決まった職員はそうです。引き継ぎのことに気が向きがちになります。
ある更正の請求の話
最近、こういう話を聞きました。
長く処理が止まっていた更正の請求があったそうです。そこへ、追加資料の要求が来ました。あわせて、こう言われたといいます。「今週中に対応できないと、これから人事異動があるので、取下げをお願いします」と。
取り下げる理由は、職員の側の内部事情です。税理士や納税者の側には、それに応じる理由はありません。
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更正の請求は、国税通則法に定められた納税者の手続きです。要件を満たし、期限内であれば、納税者は請求できます。処理する側の都合で取下げを求められる性質のものではありません。
人事異動の時期に、こうした対応が減ることを願っています。ただ、これは根深い問題だと感じています。
